1〜Kerly
私たちは3枚目のアルバムを発売していて、今まで行ったことのないライブハウスや、フランス、ドイツなどにも出向くようになっていた。
初めて出会うミュージシャンや、その業界の人達に出会い、交友も広がり、知名度も上がりつつあった。
そして、ついに、あの番組から再びTV出演の依頼があった。
「ジャパニーズ・スリーピース・ボーイズ・バンド」と言われたTV番組だ。
そこで、私は言ってやった。
「I'm a girl!」
会場のギャラリーが驚く。
そして、そこにゲストで来ていたベテランミュージシャンの彼が、こんなことを聞いてきた。
「女の子なのに、どうしてそんな成りなの?
トランスジェンダーなの?」
私は言ってやった。
「これが、私のスタイルなの。
私は、ロックミュージシャンなの。
男とか女とかの前に。
あなたは違うの?」
すると、同じくゲストで来ていた女性シンガーが、
「その通りよ」
と言ってくれた。
ギャラリーからも、歓声が上がった。
後々、ベテランミュージシャンの彼は、性差別発言としてネットで叩かれ、SNSで謝罪した。
これで、私は晴れてジェンダー問題とはお別れだと思っていた。