4〜Lue
4年程前、リドルにタトゥーを掘ってもらった。
何もかもに疲れ果て、叫び出して逃げ出したくなる衝動さえ抱えていた。
そんな俺を、近くのライブハウスに誘ってくれた。
「よし、今日は叫びまくるぞ」
心が読めるのか?
この人は、いったい何者なんだと思った。
その後、近くのパブで、タトゥースタジオのメンバー数人と飲んだ。
談笑するリドルを、肘をつき酒を飲みながら観察していた。
「なんだ?俺の心でも読もうとしてるのか?」
図星だ。
「あなたは、人の心が読めるの?」
「悪いな!悪い癖なんだ」
優しい顔で微笑みながら、そう言った。
後になってから、精神科医でもあることを知って、俺は怒った。
警戒しながらも、それでもなぜか、リドルの元に通い続けた。
彼といるのが心地いいことに気付き始めた。
リドルがよく言う男との耐性はあったが、男にそんな感情を抱いたことはなかった。
頭が良くて、人当たりも良い彼に、尊敬と共に愛欲も抱き始めた。
2ヶ月程、俺達の関係は続いた。
仕事でフランスに戻り、その後日本に行くことを決意して、しばらくは会ってはいなかったが、ダメになって別れた訳ではない。
元サヤに戻った位の軽い感覚だった。
問題は、カーリーだ。
まるで三角関係だ。
俺たちはここから始まった。