2〜Lue
俺は、3年前、積み上げてきたキャリアを全て捨てて、また従兄弟の修司を頼り日本に行った。
修司は、当時売れない役者で、東京にオーディションを受けに行ったりしていた。
また、大阪で仲間と劇団を作り細々とやっていた。
そんな金もない修司の家に転がり込んだ。
俺の事情を知っている修司は、それなりに暖かく迎え入れてくれた。
劇団の手伝いをしたり、たまには出演したり。
「お前は綺麗すぎる」
と、髪をボサボサにカットされ、無精髭を生やせと言われたり、
「その背中のタトゥーは見せられないな」
と服を脱ぐシーンは全くなかったし。
修司は、俺の心情を汲んでくれていたんだろう。
小4から中2まで5年間弱、京都の田舎で暮らした。
フランスにいる画家のおじいちゃんの実家だった。
仕事で帰国した時に預けられ、そのまま何年も居着いたかたちだ。
俺と兄のテオは、修司と兄弟のように暮らした。
野山を駆け回り、バスケや野球をし、女の子とドキドキしながらデートしたり、共に成長してきた。
お父さんとお母さんがいて、おじいちゃんおばあちゃん、お姉さんがいて、いつも賑やかで笑いが絶えず、本当の家族を味わった気分だった。