8〜Riddle
そんなある日、ルーは自ら蓋を開けた。
「男に初めてヤラレたのって、いつ?」
と聞いてきた。
「ヤラレたのは大学生の頃だけど、12歳の時から祖父から性的虐待を受けていた」
「知らなかった。そんな風には見えなかった」
「お前は?」
「16歳の時に、映画監督に無理やり関係を迫られた」
「今まで誰かに話したことは?」
「ないよ。初めて言えた。
リドル、何か誘導した?」
俺は平気みたいな顔をしているけれど、平気なはずはない。
ずっと蓋をしていたのか。
でも、時々中に封じ込めていた物が溢れて、蓋を開けてしまうことはあるだろう?
もしかしたら、それが素行の悪さに繋がっていたのか?
「1人で悩んでいたのか?辛かっただろう?」
「どんどん悪い方に向かっていくだけさ。
もうどうでもいいって、大きなタトゥーでも背中に入れてやろうかと思ってここに来て、リドルに会えた」
10代の子供が、何年も1人で耐えていたのか。
嫌いな仕事をやり続けているのも、自分の力では抜け出せなかったからか。
でも、彼の映画は観たことあるが、かなりの役者で評価も高い。
違う自分になって、自分を誤魔化していたのかもしれない。
「俺はいつもここにいる。いいな!」
ルーの印象が次から次へと変わっていく。
それが、クロスのタトゥーにも影響してくる。