7〜Riddle
「疲れているんだな。仕事は好きか?」
「嫌いだよ。
だいたい、どこまでが仕事でどこまでがプライベートかすら、もうわからない」
今日は素直だな。
「好きな事とかやりたい事をする時間はないのか?」
「時間もないし、何したいもない」
重症だな。
「子供の頃はどうだった?」
ルーが珍しく、自分の事を話し出した。
母親を早くに亡くし、
父親から捨てられたも同然、
でも、祖父母には可愛がられていた。
その後、日本で、今までで一番楽しかった4年間過ごす。
多少俺と似たような部分はある。
とりあえず、楽しかった頃の話をずっと聞いてやる。
この時間だけでも、嫌な事は忘れるといい。
いつの間にか、子供の頃の思い出をなどを2人で笑いながら話すまでになった。
そのうちに、タトゥーの予約のない日まで、彼は尋ねて来るようになった。
人と会う時は先入観を持たないようにしていたはずの俺だが、これだけ有名なルーのことは、いつの間にか刷り込まれていたのかもしれない。
ルーの印象がどんどん変わっていき、俺自身も楽しいひと時だった。
ある日、何かの拍子にハグをした。
でも、お互いなかなか体を離せない。
そのままキスする流れができてしまった。
特に男に興味はないが耐性のある俺達。
どちらかというと男に翻弄されてきた受け側のふたりの試行錯誤の関係が始まった。
ヤバいぞ!
俺は、客とはもう寝ないと誓ったばかりだぞ。