2〜Kerly
リドルが手を止め、私の背中を眺めていたので、これで完成しちゃったんだと思った。
リドルにタトゥーを掘ってもらえる至福の時間は、もう終わりなんだと淋しさが込み上げてきた。
でも、その後も、無言で腕を組んで難しい顔をしている。
私を、立たせたり、歩かせたり、写真を撮ったり、プリントアウトしたり。
ずっと考え込んでいる。
そして、明日また来いと言う。
顔も上げずに。
消毒に、弟子のひとりのアンジーを呼んでくれた。
アンジーは、「ワオ!」と言うなり微動だにしない。
えっ!失敗なの?
翌日、リドルから提案があった。
この木のタトゥーに、フィンチを3羽とまらせたいと言う。
私は、このままでよかったのに。
フィンチを3羽掘り終えて、本当にこれで完成だ。
リドルが、私の頬を包み込み、こう言った。
「このタトゥーに負けるな!」
そして、1階に連れて行かれて、裸にされ、お披露目された。
一瞬、皆沈黙した。
そして、歓声が上がった。
カメラマンが来て、バックヌードを撮られた。
それをポスターにして、リドルの歴代の大作のポスターの数々の中に仲間入りだと言われた。
私のお気に入りのクロスのタトゥーの横に。
翌日、どういうことなのか把握できていない私は、久しぶりに酒をあおってから、リドルの部屋に行く。
リドルは、初めて、私をバックから抱いた。