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1〜Riddle
カーリーのタトゥーも完成に近付いている。
背中の大きなタトゥーを背負う覚悟がないカーリーには、少し大き過ぎるかもしれない。
久しぶりの大作に、俺自身が夢中になっていた。
もうひとつの仕事で今日会ったジョンが、
20歳年下の訳あり小娘と関係を持っている俺を心配していた。
予約の時間ぴったりに、カーリーはやってきた。
「最近夜来ないから、寂しいぞ」
「私は、たしかにレイに言われた通り浮かれていた。
だから、ここのところアルコールは絶ってる。
金曜日の打ち上げの日以外は飲まないことにした」
シラフのカーリーの口調だ。
「今日で完成だ」
俺がそれだけ言うと、カーリーも無言で横たわった。
カーリーの言う荘厳さは重過ぎると思ったので、光が差したような差し色を入れて、幻想的に近付けた。
今日の作業は、さほど時間はかからないはずだった。
最後の差し色を入れて、全体を見る。
カーリーを立たせて、また全体を見る。
愕然とした。
俺は、ちょっとしたクリチャーを作ってしまったかもしれない。