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13〜Riddle

 俺の過去を話して以来、カーリーは夜酔って来ることは少なくなった。


引かれたかな!



 初めて出会った頃、

人の目を見ず、無表情で、自分のこだわりの森の知識を話し出すカーリーには、ASDがあるのかと思った。

しかし、仲良くなるにつれて、彼女は、ちゃんと人の目を見て話し、表情豊かになる。

さらには、人をこっそり観察し、人の気持ちに寄り添える子だとわかった。


俺が過去の話をしている時も、時折俺の手に自分の手を重ねてきた。

レイやショウに対してもそうだ。

怒っているかどうか、いつも顔色を伺っているふしがある。


 虐待を受けていたことを知った頃、ころころ変わる人格は、解離性同一障害なのかとふと思ったこともある。


一度、本名を聞いた事がある。

カーリーは、ナオという名前を嫌っている。

日本を離れてから、彼女のことをナオと呼ぶ者はいなくなった。

その頃から、彼女は、Scream of No Nameのカーリーというキャラに徹しているんだろう。 

ミュージシャンではよくあることだ。


無表情で、

あまり喋らず、

大酒飲みで、

突拍子もないことを言って人を驚かせる、

辛辣な歌詞を書き、

Scream of No Nameの音だけを頑固に追求し、

自分を表現しないといけない存在


そんなキャラクターなんだろう。


でも、ナオを消し去ったわけではない。

本が好きで、森が好きで、

自分に自信がなく、

人見知りで、

母親から、出来が悪いとか汚れていると刷り込まれ、それを隠そうとしている女の子。

ずっと消えてなくなりたいと思っていたけれど、必死で生きている女の子。

そんな自分を表現したくない女の子。



この娘は、そのふたつが混在している。

時にそれが、両極端になったりするのだろう。

ブレが出てしまう。

人間らしさだ。


また、

アルコールに依存する傾向にある。

好きだと思った人から嫌われない為に、体すら使ってくる傾向もある。


確かに、心に傷を持っている。

彼女なりの対処方法だ。


そして、バンドへの執着。

今のカーリーには、それしかないからだ。


それでも、

精神科医としてなのか、俺自身としてなのか、変わり者で扱いにくい子ではあるが、この娘は大丈夫だ。


そう思い始めていた。





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