11〜Kerly
涙が止まらない私を、ベッドに横たえ、その夜は、ただただ話をした。
時には笑みを浮かべ、辛いはずの過去を淡々と話すリドル。
「子供の頃、辛いって感じなかったの?」
「辛かったのかもしれないけど、生きることに必死だったな。
逆に、本当の友達に出会ってから、自分にゾッとしたよ」
「そんなリドルが、どうして精神科医になったの?」
「前にも言ったろ!
俺には、天賦の才能ってやつがあって、子供の頃から、人間観察が好きで、人の感情を汲み取る能力があったんだよ」
「どんな風に?」
「今嘘ついてるだろうとか、悲しいのを我慢してるんだろうとか。
子供の頃は、すぐ口に出しちゃうから嫌われてたよ。
8歳頃から、心理学の本とか読んでたし」
「たしかに、嫌なガキだな」
「外科医を目指してたんだけど、ある子供の診察を見ていた精神科のドクターから、君はうちに向いているってラブコールがあった。
余りにも、彼がしつこいからかな」
「苦労してるから、人の気持ちがわかるんだね?」
「子供の頃って、自分の人生が皆と違うって気付かなかったりするんだよ。
これが、自分の当たり前だって思い込んでしまう。
だから、逃げられない」
「違うか?カーリー」
結局、私が諭される。