10〜Riddle
ある日、ジョンが、同じクラスの友達が来ているから、一緒に飲まないかと誘ってくれた。
そこにいたのは、マリー・レントとグレッグ・アッシュだった。
俺は、生きることに必死で友達もいなかったので、居心地は良くなかった。
「リドル、この前の生物のテストもトップだったみたいね。優等生よね」
「勉強してる姿しか見たことないよな」
「バイトもしてるし、大学にいる間に勉強しないと」
「イケメンでスタイルも良いのに、近寄るなオーラが半端ないって女の子達が言ってるぞ」
「スタイル良いっていうより、痩せすぎよ、リドル」
とか言われて、色々からかわれている。
「貧乏なんで」
「そういえば、Gストリートで何度か見かけたってロンが言ってたけど、バイトか何かやってるの?
薬とかゲイの売春でよく摘発される場所だろう?」
「うちは、薬は絶対厳禁だからな!」
「薬じゃない方だよ。金ないんで」
あまりに罪悪感もなく淡々と話す俺に、一同絶句した。
「体売ってるってこと?」
子供の頃から、誰に頼る事なく自分ひとりで考えて生きてきた俺は、いつの間にか世間の常識から逸れていたんだろう。
それにさえ気づいていなかった。
それからというもの、この3人は、俺の生い立ちや生き方を聞いて、諭したり、怒ったり、時には泣いてくれたり、俺の人生にズカズカと入り込んできた。
俺に抜け落ちていた感情や良識を取り戻してくれた。
彼らといることが心地良くなってきた。
その頃から、1人だけでがむしゃらに生きていくのを、少しずつやめていったのかもしれない。