8〜Riddle
犯罪(売春)を匂わせる記述がありますが、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
俺は、勉強はできたので、進学したかった。
祖父は、貯蓄で行かせてやるとは言っていた。
しかし、16歳の時、祖父は脳溢血で倒れた。
施設に入ることになった。
その時、そこの施設長に、こう言ってやったのを覚えている。
「祖父は小児性愛者なので、13歳位までの男の子は近付けないように」
「君も何かされていたのか?」
と聞かれたが、大丈夫ですと答えた。
16歳から、祖父のアパートで一人暮らしが始まった。
その家賃と、俺が告白したことで特別扱いとなった特別費用とやらで、祖父の貯蓄はどんどん減っていく。
大学には、奨学金で行けることになった。
しかし、その頃には、祖父の貯蓄は底をつき始めていた。特別費用は、俺がバイトして払うしかなかった。
どうにもならない時は、夜のストリートに立って、体も売った。
酷い目にもあったが、わかってやっていたことだと諦めた。
自分の生活費はいつも足りず、いつも空腹で痩せこけていた。
そんな俺を、同じ大学のヤツらは、ジャンキーだと噂していた。
どうしてそこまでして、あんな祖父の為にお金を稼いでいたのか、その頃は考えてもみなかった。
親から捨てられた自分を面倒みてくれた負目を感じていたのかもしれない。
今なら、誰かがそういう状況にあったら、絶対許さない。
でも、当の本人は、そういった血縁とか負目とかに縛られて、なかなか抜けられないことを知った。
がむしゃらに勉強して、バイトに明け暮れ、友達も作らずにいた。
アパートを解約して、安いシェアハウスに引っ越そうと大学の掲示板を見た。
同じクラスのジョン・ゴールドスミスの名前があった。
すでに決まった後だったが、その頃から、ジョンは俺を気にかけてくれるようになった。