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4〜Riddle
夕方、練習後のカーリーが木のタトゥーを入れにきた。
今日の最後の客だ。
作業場のシャワーを浴びて、そのまま作業台に横たわる。
殴られたあざも一部変色し、治りつつある状態だ。
今日も広い範囲でタトゥーを入れていく。
カーリーには負担のかかる施行だ。
今日も、哲学書を読んでいる。
「哲学書はおもしろいか?」
「曲のイメージが沸く」
やはりミュージシャンだ。
休憩を取りながら、2時間弱掘っていく。
負担の大きい部分は、これで終わりだ。
「あと3、4回くらいで終わりそうだな」
カーリーの背中を消毒し、ガーゼを貼った。
久しぶりに胸が高鳴る大作のタトゥーを掘っている時間と、難解なパズルでもあるカーリーとの時間をもっと味わっていたいとも思った。
カーリーに服を着るように言い、後片付けをしていた。
気がつくと、カーリーは裸のまま、スキットルを口に運んでいる。
「こら!タトゥーを入れた後は禁酒って言っただろう」
そういうと、カーリーはスキットルを手に近付いてきた。
例の吸い込まれそうな大きな目で。
そして、俺は、椅子に押し戻された。