6〜Riddle
カーリーの木のタトゥーは、大作になる。
背中の7割方から、一部は尻や裏ももまで続く。
本人の負担や、墨の入り具合を確認して、色を変えたりする為、数日おきに行う。
久々に、自分自身も完成が楽しみな作品だ。
それと同時に、カーリー個人に心を奪われてもいる。
それは、単に恋愛とかセックスだけではなく、決して良いとは言えない子供の頃を経験し、何を考えているのかとか、極端な性格がどんな風に作られてきたかとか、心理分析的にも興味深い。
今回は、怪我の様子も気になったので、出張診察することにした。
翌日、すべての仕事が終わってから、カーリーの部屋に行くと、安いバーボンを飲みながら、哲学書を読んでいた。
「昨日入れた部分は、痛くなかったか?』
机代わりに使っている小さな台から椅子を引き寄せて座り、全裸でベッドに横たわるカーリーの背中をチェックする。
「怪我の方はどうなんだ?」
「あざの割に、そんなに酷くはない。
横向きでしか眠れなかったけどね」
「てことは、痛かったんだな?
正直に言えよ」
「これくらいは大丈夫」
「明日明後日は、予定が詰まっているから、3日後に予約を入れておく」
「そんなにかかるの?」
「こっちの都合もあるんだよ」
カーリーは、少しすねた。
酒が少しでも入っていれば、感情豊かになる。