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5〜Kerly
やっとの思いで立ち上がり、血を流しながらトイレを出ると、ボスが私に気付いて駆け寄って来た。
それを見た仲間達が、
「誰にやられた?」
と、いきりたっている。
その時すでに、ビガーと女の子達は消えていた。
病院に連れて行かれた。
4針縫われた。
悔しくて、痛くて、悲しくて、眠れなかった。
ボスが、ずっと頭を撫でてくれた。
結局そのまま添い寝してくれていた。
その翌日、リドルの予約が入っていた。
心配そうに覗き込み、今日はやめようと言う。
「どうせ全身痛いんだから、やってよ!
ただでさえ、遅れてるんだから」
ちょっと強がってみせる。
うつ伏せになるのが辛かったが、いくつもクッションを入れてくれた。
背中にうっ血もなかったので、木のタトゥーを再開する。
私は、今日は哲学の本を読む。
リドルは、掘っている間は集中したいので無口だ。
でも、時折手を止めて、話しかけてくる。
休憩も多めに入れてくれた。
「痛かっただろう?」
「悔しかったな!」
「いつでも泣いていいぞ」
まるで子供をあやすように、私を慰める。
そんなに優しくされたら、あなたを独占したくなる。