2ーKerly
リドルのスタジオを出てから、屋台のドーナツ屋さんでりんごジュースとドーナツを買い、家に戻る。
レイちゃんとショウくんが待ち構えている。
「見せてみろよ」
「まだガーゼだらけだよ」
シャツをめくられ、背中を見られる。
その時に、少し蘇る。
2人とも、私の背中なんて見慣れている。
裸すら平気だった。
2人は、私の背中の傷を知っていたんだろうか?
浮かない顔の私に、
「どうしたんだよ?」
と聞いてくる。
「疲れちゃった。もう寝る」
部屋に帰って、ドーナツを食べていたら、2人が部屋に入って来た。
「何かあったのか?」
「何もないよ」
とは言ったものの、いつの間にか涙が流れていた。
「私の背中に傷跡あるの知ってた?」
「傷跡あったら、タトゥー入れられないって言われたのか?」
「そういうことじゃないけど」
「誰でも、人に知られたくない傷跡の一つや二つあるだろう」
そういうと、レイちゃんは私の目の前に、下半身を曝け出してきた。
「俺は、子供の頃、自転車で派手に転んで、たまたまを失うところだった。
ここに縫った跡あるのわかるか?」
「そんな毛だらけじゃ、わからないよ」
3人で笑った。
2人とも、私の体と心の傷を知っていて、それでもいつものままでいてくれているんだろうか?