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1〜Riddle
カーリーは、少し躊躇いながらも、作業台に横たわった。
何かで気を紛らわせたいのだろう。
無言で、本を読み出した。
「行くぞ!」
まずは、細い針で輪郭を入れていく。
「痛かったら言えよ」
範囲も広く、細かい作業にもなるので、俺も集中したい。
しばらく、無言の時間が過ぎていく。
時折手を止めて、話しかけるが、最小限の答えしか返ってこない。
でも、もともとカーリーは酒が入っていないと、こういう娘だ。
約束の時間は過ぎてしまったが、輪郭だけでもやっておきたい。
痩せていて脂肪がないので、骨に直に響いているはずだ。
何もなかったように耐えている。
体の痛みも、心の痛みも、いつもこうして耐えているんだろう。
一人で。
「今日は、輪郭だけで終わりだ」
そう言って、写真を撮って、カーリーに見せる。
「いいか?」
消毒して、範囲が広いので、ガーゼを貼ったりラップを貼ったりして、台から降ろす。
服を着終わったカーリーは、いつもの伏せ目がちで無表情だ。
その目を俺に向けさせて、おでこにキスをして抱きしめた。
「明日の夜見せにおいで!」