10〜Riddle
「精神科医としての俺の見解を聞きたいのか?」
この娘を抱いている者としてのスタンスを取るか、精神科医としてのスタンスを取るか、俺にはまだ確信は待てなかった。
「俺個人の見解を聞きたいのか?」
「それって違うの?」
「違うよ。どうして欲しい?」
「リドルは、私のこと異常って思ってる?」
「異常?ある意味ね!
君は、お酒が入ってる時と入っていない時が違いすぎる。
酒はやめるべきだね!」
「えっ!そこ?」
「全部言ってほしいか?」
「まだあるの?」
「人の目を見て話すのは苦手か?」
「人見知りなんだよ」
「いい歳して、人見知りとか言っていられないぞ!
どうしてなのか、自分でわかるか?」
「私は、何もできないし、ダメな奴だから」
「自分のこと、そんな風に思ってるの?なぜ?」
あれだけのミュージシャンでありながら。
カーリーは少しずつ話し始めた。
俺は、一個人としてのスタンスを取るしかないと悟った。
「誰かにそんなこと言われたの?」
カーリーは黙ってしまった。
「君のママは、厳しかったのか?」
「嫌だな、私、そんな雰囲気滲み出てる?」
口調が変わった。
「誰と話してると思ってるんだ?
この俺だよ!」
「精神科医ってこと?」
「アンソニー・リドル・エヴァンスってことだよ。
俺が何人の人間と接してきたと思う?
彫り師として、精神科医として、1人の人間として。
それに、俺にはわかるんだ。
天賦の才能ってヤツだな!」
「じゃあ、わかってよ!私が今何して欲しいのか。
木のタトゥーは、いつ掘ってくれるの?」
「君は、背中の記憶を塗り替えて欲しいと思ってるじゃないのか?」