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9ーRiddle

 俺は、裸で横たわり夢中になって本を読むカーリーを、地獄に突き落とす一言を放った。


「背中の傷は、誰にやられた?」


カーリーは、一瞬止まり、本を投げ捨て、自分の背中を弄り出した。

そして、転げ落ちるように慌ててベッドから飛び降り、裸のまま、部屋の隅に背中をつけて、膝を抱えた。

無表情の目から、涙だけがこぼれ落ちた。


カーリーは、俺にこれ以上近付かないように、震える両手を押し出す。


俺は、ゆっくりカーリーをブランケットで包み、そばに座った。


「すまない」


徐々に時間をかけ、肩に手を回し、頭を寄せ、

そして、ブランケットごとカーリーを膝に乗せて抱きしめた。


か弱く、膝を抱えたまま丸くなり、動こうともしないその姿は、まるで胎児のようだった。


 しばらく、俺は、胎児を抱えていた。

どれくらい時間がだっただろう。


「傷跡が残ってるなんて、知らなかった。

知られたくなかった」


カーリーが、重い口を開いた。


「俺は知った以上、君を放り出さない。

俺は、君の味方だ。

辛いだろうけど、俺に話してみないか?

2人だけの秘密だ」


 しばらく沈黙の時間が流れる。

口を開いてくれるのを待つしかない。


しばらくして、カーリーが思いがけない言葉を口にする。


「守秘義務ってやつ?

精神科医としての見解は?

私って、おかしい?」


そうだ、この子は賢いんだった。


自分は、そんな事平気だと言いたいんだろ?


でも、その一言は、感情の何かを放棄したから出る一言だ。

俺は、見抜いているぞ。


心中覚悟だ。



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