8〜Riddle
カーリーの背中とお尻には、凝視しないとわからない程度ではあるが、細いみみず腫れのような傷跡が数カ所あり、よく見ると、もっと細くて小さな跡が無数にある。
ほぼ、同じ角度からのものだ。
背を向けて自己防衛した時に、よくできる物だ。
虐待の跡か。
俺は、もう一つの仕事上、こういった子供達と接する機会が多い。
殴られた跡、煙草を押し付けられた跡、ベルトで叩かれた跡、時には刺された跡、そんな物をよく目にしてきた。
カーリーはまだ謎が深いが、この時、この娘の人格の不可解だった部分に一筋の糸が見えた。
この娘は、この傷跡のことすら知らないのか?
それとも、蓋をしてしまい込んでしまったのか?
彫師と精神科医、その狭間で迷った。
この娘に、体の関係を持ってしまった俺が責任もてるのか?
でも、知ってしまった以上、俺には放っておく事はできなかった。
アミアの言っていた両極端、
八木が言っていたギリギリライン、
レイが言っていた執着、
無表情、
ぎこちないコミュニケーション、
現実で生きている感のないふわふわした様子、
アルコールへの依存、
そして、危険なセックスを繰り返すこと。
俺は、カーリーが放棄してしまった部分を取り戻していいのか迷っている。