6〜Kerly
ついに、今日はリドルにタトゥーを入れてもらえる。
朝からウキウキが止まらなくて、レイちゃんにまた怒られる。
予約の時間より早めに行く。
リドルは、前の客が押しているということで、2階の作業場の隣の部屋に通される。
大きなソファとテーブル、コーヒーマシーンに紅茶セット、そして、大きな本棚にたくさんの本。
1階の待合室とは違って、ちょっとした応接室だ。
本棚には、タトゥーのカタログ、ファッションやエンタメ系の雑誌、国内外の小説の数々、そして、医学や哲学や生物学等の専門書まで。
私は、その中から何十冊もある臨床心理学の本を選んだ。
専門用語も多く難しい。
スマホで調べながら、何冊か読んでみた。
その中の比較的読みやすかった一冊を手に取り、ソファで読み耽った。
全て英語だし、この頃会話程度ならできていたが、学校で習わなかった単語は、スマホの辞書で調べながらなので、なかなか進まない。
でも、そんな事は望むところだ。
探究心に火がついた。
子供の頃から読書と勉強は好きだったことを思い出した。
1時間ほど経っただろうか、リドルに呼ばれた。
臨床心理学の本を読み耽っている私に、
「本が好きなのか?」
と聞いてきた。
「うん」
「心理学に興味あるのか?」
「うん!でも難しい」
「心理学なら、この本から始めるといい!」
と言って、一冊の本を出してくれた。
「この本を持っていってもいい?」