14/78
8〜Riddle
部屋に入るなり、壁に貼り付けてあった写真を、隅から隅まで眺めている。
酒を飲みたがったが、もう充分だろうとオレンジジュースを出した。
数々の写真の中から、木の写真をみつけ、
「この木、この前私がスマホで見せた木だよね?
どうしてわかったの?」
「テーブルが写ってただろう。
俺は、よくあそこでコーヒーを飲んでいる」
「この木を探してくれたの?」
「君が、随分こだわってるみたいだったからな」
「どうして、そこまで?」
「アーティストだからな!」
「ありがとう!
そこまでして、リドルにタトゥー掘ってもらえるなんて、私ってなんて幸せなの」
可愛いこと言ってくるじゃないか。
酒のせいか。
「でも、私なんかでいいの?」
「当たり前だろう!
俺は、イマジネーションわかない奴には掘らない主義だ」
「どうして、私にイマジネーションわいたの?」
「君の情熱かな!」
すると、カーリーは少し微笑んだ。
そして、俺に抱きついてきた。
その体は細くて軽く、か弱かった。
その体を、しばらく抱いていた。
そして、いつのまにかキスしていた。
俺が、こんな訳あり小娘に心奪われるとは。