7〜Riddle
「カーリー!送ってやるよ」
カーリーは振り返る。
でも、歩みは止めない。
まだ、少し酔いは残っているようで、ふらついている。
「嫌なところ見られちゃった」
この子は、いつも無表情で人の目も見られないが、正当なちゃんとした感情は持ち合わせているようだ。
「いつもなのか?」
「今日なんて、まだ良い方だよ」
「もっと酷いこともされたのか?」
「女子トイレに入れなかったから、男子トイレに行ったら、危うくレイプされるところだったよ」
でも、こういうことを何気なく口に出してしまう危うさもある。
「私は、こんな見た目だから、トイレにも行けない」
「だって、ロッカーのスタイルだろう?
レイもショウも同じようなスタイルだろう?
でも、トイレには行けてるだろう?」
「いつも、男なのか女なのかって聞かれる。
ミニスカートでも履こうかな!」
「君の中で、それはどうなの?」
「できるかってこと?
できるけど、したくはない」
「スタイルは変えたくないんだね?
何か理由があるの?」
「だって、レイとショウと同じでいたいじゃん」
バンドメンバーに対する依存が強い。
そして、自分は女の子という自覚はある。
話しながら歩いているうちに、俺のタトゥースタジオの前に着いていた。
「話し足りないな!寄っていくか?」
一瞬、カーリーの目から感情が消えた。
でも、ついてきた。