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2024年2月13日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#123 ダンボール


 サクソフォン奏者八巻和行(やまきかずゆき)さんのラジオ番組

 こうのすFM フラワーラジオ

 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)

   八巻和行の七転び八巻

 

 というラジオ番組の投稿コーナー

  妄想【愛の劇場】

 毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。


 小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。

 そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。


 妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!! 

 こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです! 

 《番組への参加方法》

 ①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioリスラジのアプリをダウンロード

 フラワーラジオを選局して、お気に入り登録

 ②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー

 ③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表

 ④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿

 ※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。

 ※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。



 サイト投稿回数 第70回目の今回は………

 2024年2月13日放送。

 妄想【愛の劇場】#123 ダンボール


 久し振りに実家に戻った。

 家族4人で過ごした木造の平屋建て。今はもう、誰も住んではいない。

 なので、家の中を片付けてしまおうと重い腰をあげる事にした。


 リビングに和室。両親の(にお)いの残るありとあらゆる部屋の中を片付けるのは後回しにしよう。

 その前に、自分の部屋として使われていた離れのユニットハウスを片付けることにした。

 3坪ほどの自分だけの秘密基地。

 中学校に入学した時に両親からプレゼントしてもらい、高校を卒業するまでそこで1人の時間をよく過ごした。

 扉を開く。

 ムワッとした室内に集まっていた(ほこり)っぽい重い空気が、一気に外へと飛び出した。

 中を見回す。

 机や本棚、ベッド(など)には綿(めん)の大きな布がかかっていた。

 机の綿(めん)の大きな布を()がす。

 高校三年生の頃の教科書や文房具が当時のまま置いてある。

 次いで、本棚の綿(めん)の大きな布を()がす。

 好んで読んでいた人気漫画が、当時のままきれいに並んでいる。少しだけ紙が黄ばんでいる辺りに、時間の流れを感じた。

 ベッドの綿(めん)の大きな布を()がす。

 布団は無くなっていた。代わりに20センチ四方のダンボールが置いてあった。

 見覚えの無いダンボール。しっかりとガムテープで(ふう)がしてある。

 これは何だろうか。

 自分が置いたのだろうか。

 全く記憶がない。

 両手を添えて上に()げてみる。

 とても軽い。

 振ってみても大丈夫だろうか。

 カサカサと音がした。

 全く想像ができない。

 開けてみようか。

 机にあるカッターを手にする。

 ダンボールのガムテープにカッターの刃を立てた。

 中身の大きさが分からないので、中のものを傷付けない様に、注意深くカッターの刃を(すべ)らせる。

 ダンボールを開封する。

 中には、封筒が1通だけ入っていた。

 封筒を手にした。開けてみると、手紙と通帳とハンコが入っていた。

 手紙は母の字だった。


  あなたがこの手紙を読んでいるという事は、私達がこの世にはもう居ないという事なのでしょうね。


  あなたが長い間、毎月私達に送ってくれていた仕送りを貯金していました。

  これは私達へのあなたからの優しさと、あなたが今まで努力してきた結晶です。

  ありがとう。そして、いつもよく頑張っていますね。


  これをあなたにお渡しします。

  どうぞ、これからもご自愛して頑張って下さいね。

  いつもあなたを見守っています。


   親愛なるあなたへ。

    父と母より。


 通帳を開く。

 先月まで送っていた金額が、しっかりと通帳に記帳されていた。

 両親の代わりに妹が入金を続けてくれていたという。


 お父さん、お母さん、自分は優しかったわけではありません。

 これはあなた達への意地だったのです。

 あなた達は夢を追うのを反対しました。大学へ行き、ちゃんと就職をする様にと言いました。

 しかし反対を押し切る様に、家出同然であなた達の前から姿を消しました。

 それからある程度、夢が軌道に乗り始めた頃に、あなた達に認めてもらう為ではなく、あなた達を見返す為に仕送りを始めたのです。

 それをあなた達は優しさと言いました。

 いつまで経っても自分の事ばかりで、なんて恥ずかしい事でしょうか。


 目頭が熱くなるのを感じた。両親への深い愛情に涙が止まらなかった。

 ダンボールを抱きしめながら、年甲斐(としがい)もなく大きな声を出して泣いた。 


 ありがとうございました。

 次回もラジオ番組の投稿コーナー

 妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。


 妄想【愛の劇場】#124「ルームシェア」

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