第176話 ダンジョンはハロウィン仕様?
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10月の下旬になると広島駅前の小規模ダンジョンが活気付く。
スイカの提灯と呼ばれるパペットの他に南瓜のランタン・・・まぁ、ジャック・オー・ランタンのパペットが現れるのだ。
「ということで師匠。ジャック・オー・ランタンのパペットをテイムするのに付き合って下さい」
横川アナからそういう提案が来た。
この時期、パペットたちは魔女の尖り帽子や赤地に白いボンボンのナイトキャップ・・・いわゆるクリスマス帽を被り、手にはスティックキャンディを装備した特別仕様になる。しかも専用装備で補正もそこそこあるらしい。
「ジャック・オー・ランタンは第3階層から出没するらしいよ」
横川アナが手元のスマホに目を落とす。彼のネット配信を見ているリスナーからの情報のようだ。
「パペットですか?」
「パペットだよ。まぁ、妖精の方もハロウィンコスプレらしいけど」
ちなみにスイカの提灯も妖精、パペット共にハロウィンコスプレだという。
「さっさと第3階層まで進みましょう」
第1階層をさっさと踏破する。第2階層は魔女の尖り帽子を被ったスイカの提灯は魔法を赤地に白いボンボンのナイトキャップを被ったスイカの提灯は接近攻撃と実に分かりやすい攻撃をしてきた。
ケット・シーのチビやコボルトの疾風で弱らせ横川アナとテイムモンスターであるスイカの提灯の橘でトドメをさす。
横川アナと橘はほとんど育っていない。横川アナ、人気アナウンサーだからダンジョンにはあまり、というかほとんど通っていないのだ。
「済まないねぇ」
「まぁ、知ってました」
持っていたのが横川アナも橘もバットだもんね。
「お、スイカの提灯からキャンディスティックが」
早速橘に装備させる。
「棍棒ですかね?」
「ちょっと待ってくれ・・・」
横川アナが橘と念話で話す。
「杖だって」
「普通の?」
「魔法の」
「魔法が使えると?」
「素質が有ればね。橘はないからただのスタッフだけど、それでも棒よりは破壊力はあるって」
まぁ、装備補正があるという話だし・・・
「と言うか、もしかして自分たちを戦力に考えてました?」
「さて、何のことやら!」
横川アナは、下手に口笛を吹きながら顔を逸らす。どうやら図星らしい。まぁ、寄生は一部嫌う派がいるが自分はどうも思わない派だ。と言うか紅桃やユウイチローが主力な自分たちパーティーも寄生パーティーだといえる。
「このパーティーが寄生だとしてもそれが何だと言うのです。気にすることはないですよ」
「そうなの?」
「ある意味、うちのパーティーも寄生パーティーですから」
そういうと横川アナの顔色がよくなった。
見方によっては娘・・・下手すると孫のパーティーに寄生するお爺さんだからね。
「そう言えばスイカの提灯はどう進化させるんですか?」
布ゴーレムから木ゴーレムにするか、ちょっといい布ゴーレムにするか・・・ジャック・オー・ランタンを相棒にするということはスイカの提灯の上位上種なんだろう。ちなみにスイカの提灯が木ゴーレムになった場合、ピーノキオになるらしい。ピノキオじゃないよ。まぁ、攻撃手段は「鼻が伸びる」らしいけど。
「第3階層に行きますが、ジャック・オー・ランタンのパペットを捕獲してから徘徊しますか?徘徊してから捕獲しますか?」
横川アナは唸る。
「捕獲してから徘徊しようか?」
ジャック・オー・ランタンを捕まえて少し育てるらしい。
「行きましょう」
第3階層に入る。おーいるいる。サンタ帽を被ったジャック・オー・ランタンのパペットが。
「出来れば魔女帽子のジャック・オー・ランタンでお願い」
あぁ、今なら戦士か魔法使いか選べるんだ。
戦士タイプのジャック・オー・ランタンを倒し、魔法使いタイプのジャック・オー・ランタンを捕獲する。
「これは火属性。これは土属性。これも火属性・・・おぉいたよ。複数属性。火と水」
職業を授かる部屋で数体のジャック・オー・ランタンのパペットを選別していた横川アナは、お気に入りの個体を見つけたのか、先の三体を解放する。三体は煙のように部屋から姿を消す。
最後の一体に藤と付けた。




