第174話 スケルトン?いえ・・・
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このダンジョンに来た目的である面白いトレントの捕獲は達成したので帰っていいのだが、ゴーレムを供給するシステムが謎として残っている。
今までは、ダンジョンに出現するモンスターの認識だったのだが、ここのゴーレムはどちらがというと警備ロボットだ。
マイダンジョンの警備強化に使える気がする。
ということでダンジョンの最奥へと進む。
「ここのゴーレムがテイム出来るか試したいな」
「出来無いだろ。こっちは人工的に作ったやつだから自我がない」
ユウイチローが呑気に答える。
「許可なき者を排除せよって命令だけか・・・ちょっと待って自我?」
「この人の下について行きたいって意志がないとテイムされないぞ?」
ユウイチローが笑う。
「俺はお前と一緒なら面白いことに遭遇出来ると思ったからテイムされたし、実際面白いことに遭っている。不満はない」
そっかぁ・・・なんか照れるな。
「て、スライムにも自我が?」
「あるんだろうな」
「走る草がテイムされないのは自我がないからか・・・ってゴーレムも自我があるの?」
「あるのもいる。というのが正しいな。命令に忠実なのもいればそうでないのもいる」
ユウイチローはなにかを思い出すようにいう。
「あんた出雲ダンジョンのダンジョンマスターやってなかった?」
「雇われだな。前のダンジョンマスターを倒したときにスカウトされた。本体は大国主命さまだ」
なんか意外な事実なんだけど、言われると納得するけど・・・
「ゴーレムとかテイムとかの知識があるのは、まぁ、納得した」
「そりぁ良かった」
「で、こっちのゴーレムは・・・」
「言われたまんまを忠実にこなす・・・ええっとロボットというやつだな」
紅桃たちが見ているからか、ユウイチローも何気に現代日本に詳しいんだよね。偏りが激しいけど。
「まぁ、ゴーレムに自我があるないかでテイム出来るか出来ないかは重要な発見だわ」
テイマの集う伝言板に書き込んでおこう。無駄な作業が短縮される。
「ゴーレムが生産される過程だけでも確認するか・・・」
さらに奥へ奥へと進む。ゴーレムの数は減るがストーンゴーレムからアイアンゴーレムへと変わっていく。
大きさも巨人から人間の大人サイズに小さくなる。
「入った形跡が・・・ない?」
入った場所の、うっすらと積もった埃に首を傾げる。人が入った形跡もなければ、モンスターの徘徊した形跡もなかった。
「ハズレかな?」
部屋の中を覗いてみると、部屋の奥に人影が。
「誰かいる?」
よくよく目を凝らすとお誕生日席とその周辺に6体の骸骨が・・・
「非業の死を遂げた人物の噂は?」
「いません。そういう言われはギルドでは聞いてません」
カイヤが言う。
「じゃああの骸骨たちは?」
「さぁ?お化けの噂もありませんよ?」
カイヤの言葉を聞きペンタントちゃんに小さく視線を送る。
じりじりと骸骨たちが間合いを詰める。お誕生日席の骸骨は剣を両手に立ち上がる。
「ホーリーライトニング」
ペンタントちゃんが聞くだけでも聖属性増し増しな攻撃をする。
ピシャ、ドン。
白い稲妻が骸骨たちを直撃する。
カタカタ、カタカタ。
まるで効いてない様子。
「マスター。相手はアンデットではありません!」
ペンタントちゃんが叫ぶ。
アンデットでは無い?ということは・・・ボーンゴーレムか!
ボーンゴーレム。その名の通り骨で出来たゴーレムだ。
「初見殺しにもほどがある!」
スケルトンとゴーレムでは倒し方が違う。
「骨だろうが土だろうが殴ればすむ!」
「我が拳に砕けぬモノなし!」
うちの紅桃とユウイチローが嬉々として突っ込んでいく。間違ってないけど間違がってるぞ!
バキ!
ユウイチローの一撃がスケルトン・・・ボーンゴーレムの顔面に炸裂する。
「お?倒れない」
「ゴーレムだからな。コアを破壊しないと」
ゴーレムとスケルトンの違いは、ゴーレムはコアを破壊しないと動き続けること。スケルトンは体の要所を破壊すると動きが止まる。顔面とか腰とかを破壊されると動きが止まるもんね。
「ゴーレムのコアってどこだよ!」
「少くなくとも頭じゃないな。腰か?」
紅桃が叫びユウイチローが返す。まぁ、隠れているのは後は骨盤だけだからな。
「だりゃ!」
紅桃の前蹴りが骨盤を破壊する。するとボーンゴーレムが動きを止める。
「ビンゴ!」
それを見たユウイチローも前蹴りでボーンゴーレムの骨盤を砕く。
「よ~し!ライトニング」
ペンタントちゃんの指から放たれた雷撃がボーンゴーレムの股間に直撃する。あ、ネットで見た事のある画像!
弱点が分かれば撃退も早い。お誕生日席のボーンゴーレムがあっという間に瓦礫と化した。
「お、の、れ~」
喋った!




