邂逅
「(いきなりなんなんだよ)」
突如画面から発された光に襲われた男。
気がついた時に居たのは自室ではなかった。
「(は?どこだよここは)」
辺りを見渡すと何も無い空間に自分が浮いているだけなのだ。
「(意味わかんねぇよ)」
持っていたはずのスマートフォンは手から無くなっていて、腰にバスタオル一枚だけ巻いた姿で浮いている。
これを理解出来るのは至難の業だ。
「(えぇ…ナニコレ)」
呆然としていると急に空間が揺らぐ。
浮いているので何かある訳ではないが音が不安を募らせる。
しばらく揺れていたが音が小さくなってきた。
すると上から何か降ってくる。
「(あれは…人?)」
ゆっくりと、だが確実に降ってきている。
降りてきているの方が正しいのだろうか?
そんな事を考えていると顔が視認出来る距離まで降りてきて、そして同じ高さで止まった。
「初めまして、人間さん。私は貴方達の世界で女神と呼ばれる者です。」
にっこりと笑いながら挨拶をしてくる自称女神サマ。
信じられるはずもなくただ茫然とした。
「私が貴方をコチラに呼んだのですが、貴方ずっと無視してましたよね?」
にっこりとした笑顔の中に圧が出てきた。
反射的に「すみませんでした‼」と言葉が出てきた。
でも、いきなり人生変えませんか?は無理だろ。
詐欺広告と変わらないレベルだ。
「えぇーっと、初めまして女神サマ。私は~…あれ?名前が出てこない」
一応女神サマらしいし挨拶されたのでこちらも返そうとしたが名前が出てこない。
急な事に悩んでいると女神様が
「申し訳ありませんがお名前はありません。こちらに来る際に存在を抹消してます。」
との返事が頂けました。意味がわからない。
「私がお呼びした際に存在を一から消し去った、という訳です。つまり産まれてすらないという訳です。」
「なんでそんなをした!訳わかんねぇよ!」
思わず声を荒げてしまう。
だって仕方ないだろう?全部消したって言われるんだぜ?
「お怒りになられるのも御尤もです。ですがその前に私の話を聞いていただけますか?」
真剣な顔つきになる女神サマに思わずたじろいでしまう。
だって女神サマ美人なんだぜ?美人の真剣な顔なんて怖いじゃん。
ひとまず女神サマの言い分を聞いてみる事にする。びびった訳じゃないぞ。
「私は貴方の居た世界とは別の世界の管理も兼任しているのですが、手が足りないのです。」
普通の会社かよ。
「私と同じ格を持つ神達や私の部下になってくれている神達を含めても管理の規模が大きく、このままではパンクしてしまいそうなのです…。」
話をしながら悲しそうな顔になっていく女神サマ。
いや、それで俺にどうしろってんだ。
そう思っていると女神サマはにっこりとし
「ですので、助っ人として貴方の人生を買い上げようかと思ったのです。」
…待て、買い上げるってなんだ。俺は商品じゃないぞ。人生を買うってどういう事だ?
「私の部下の子に<人生に疲れて嫌になってて居なくなってもそこまで問題無い人間>で探してもらったら、貴方が「もう嫌だ、ソファと同化したい」って言ってましたから問題無いだろうって事でお呼びした訳です。」
だろうで呼ばれる俺の人生ってなんなんだよ。
居ても居なくてもいいって悲しすぎだろ…。
「えぇーっと、大まかな理由は説明させて頂いたのですがどうでしょう?ご協力願えますか?」
とりあえず大まかな話は聞いたので返事をさせてもらおう。
「ふっっっっっっざけんじゃねええええええええええええええ!!!!!!」
勢いで書いてます(汗)