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09・日々常々(平穏な、とは言ってない)

 性犯罪者どもを官憲に引き渡し、私達も軽く取り調べを受けた後に無事に解放されて、暫く日が過ぎました。タマモです。

 もちろん性犯罪者どもは官憲の目の前で鑑定しましたよ。ダッキさんがね。その時に珍しがられたので「神官の家系なんです」って嘘吐きました。ごめんなさい。

 いや、神願神託を持ってるし、イスカリアお姉さんとも面識あるしで、(あなが)ち嘘とも言えないよねぇ。

 因みに御来屋家は代々浄土宗だ。しかし改造されて生き物の範疇から外れた私って衆生に入るんだろうか? 悩みは尽きない。

 ああ、悩みと言えば、私達ってステータスどころかスキルの鑑定もされるとヤバよね。


―安心して下さい。鑑定されてもステータス全般が適当な表示になるように、こちらで隠蔽をかけていますから―


 おっとイスカリアお姉さんからの通話が。


―それはそれは。お手数をおかけして申し訳ありません、ありがとうございます。あと思考読まないで下さい。いきなり話しかけて来るのも不許可です―


―良いじゃないですか。私とタマモさんの仲でしょう?―


―イスカリアお姉さん、暇なんですか?―


―仕事の息抜き、休憩中ですので、お気になさらずー―


―さいですか。因みに普段はどんなお仕事を?―


(おも)に上がって来る陳情の処理(神願に対する神託)ですね。偶に現場で実働(神罰執行)とか管区でのリモート(神界念話)会議がありますけど―


 神様達、リモート会議あるんだ……。


―そうなんですね。お話の途中ですけど、私達これから仕事なんで。また宜しくです―


―あら、それは申し訳ない事を。お詫びにスキルなんていかがですか?―


―通信終わり!―


 なんか隙あらばスキル寄越して来ようとしてないかな、イスカリアお姉さん。


「イスカリア様って暇なんですかね」


 ほら、ダッキさんも呆れてるし。


「うーん、文字通り神隠蔽の手配もしてくれてるし、スキルも貰ってるし、偶にお喋りするくらいは大目に見よう。それよりも、ダッキさんのお待ちかね、狩りに出発!」


「気分が上がります」


 一応、装備を整えて出発。獲物が私達を待っている!


・・・・・・・・・


 はい、現場のタマモです。只今、町から離れた狩場の草原よりお送りしております。

 私の目の前では、ダッキさんがウサギさんを抱っこして、うるうるした目で首をふりふりして私を見詰めております。


 ど う し て こ う なっ た。


 いえね、狩場に着いて暫く、獲物を探して歩き回ってたら、運良くウサギを一羽発見したんですよ。

 まだ距離があるからか、ウサギはこっちにつぶらな瞳と耳を向け、鼻をヒクヒクさせてる。


「お、獲物発見。ダッキさん、ほらウサギが居たよー。早速ひとか」


 『一狩りしよう』と私が言い終わる前にダッキさん、ウサギへ猛ダッシュ! おおー、ヤる気満々だねー。なんて思ってたら。


 ダッキさん、がばっとウサギを素手で捕まえた。そんで、はっしと抱えると言うか抱っこすると、ウサギに頬ずり頬ずり撫で撫で。


 私ぽかーん。ウサギもぽかーん。

 ダッキさん、蕩ける笑顔でにこにこ。


「ええと、ダッキさん凄いねー。素手で一発捕獲とか。さ、貸して。初戦果だし、さっさと血抜きしちゃおう」


 と、言ったとたんに、先ほどの実況と相成りました。


 いや、思い当たる節はある。ダッキさん、小さくて可愛い動物が大好きなのだ。特に、もふもふしてるヤツが。

 異世界転移前、ダッキさんがまだ『みくりや丸』の船体しか持ってない頃だけど、仕事がオフの時にAVアニマル・ビデオばかり観ては「可愛いなー、触りたいなー、抱っこしたいなー」って言ってたのを私は思考リンクで知っている。考えてみたら、その当時からポンコツと情緒の片鱗はあったわ。


 こりゃ狩りは諦めるしかないかー。

 未達成で信用度ダウンだけど、仕方ない。

 他の仕事で穴埋めかな。私はダッキさんには甘いのだ。

 なんか、そのうち子フェンリルやら子ドラゴンとか拾って来て「飼っちゃダメ?」とか言いそうなのが怖いなぁ。


―紹介しましょうか? フェンリルもドラゴンも居ますよ。神獣ですけど―


―シャアラップ! そんな事したら、ダッキさん速効で文字通り飛んで行くよ? マッハで。あと思考を読むのはご遠慮して下さい―


―残念です。彼らは基本的に暇してますから、喜ぶと思いまして―


―それって、私達よりも先方が喜ぶって意味に取れますが?―


―あ、陳情(神願)が上がって来まして、それじゃ失礼します―


「タマモ! フェンリルにドラゴンとか本当ですか!? なんで断るんですか! ああっ……、もふもふとスベスベが」


 ダッキさん、そう興奮しないで。で、そろそろウサギさん放してあげて。お胸に埋もれて辛そうだよ。


・・・・・・・・・


 その後、狩りに失敗した私達は3K仕事を頑張って信用度稼ぎをしました。

 キツくは無かったけど精神的にクルよね、ドブ掃除とか汲み取りとかさ。あ、鳶の真似事の高所作業は楽勝でしたよ?


 そんなこんなで日々は過ぎ、ランクが初級Ⅲになりました。あれだね、性犯罪者捕縛が良い仕事したよね。それと信用度も三に上がってます。

 狩りは相変わらずダッキさん都合で受けてないけど。

 いや、オオカミとかクマとかにもチャレンジしたんだけどね……。

 ダッキさんが見つける、突撃する、抱える、もふる、獲物()諦める。

 そう、獲物()諦めるんじゃないんだよ。

 ダッキさんに確保されて、もふられてる獲物が全てを諦めた目で私の方を見るんだよ。

 大きなクマが涙目になってクゥクゥ鳴いて私に助けを求める姿とか、ホントいたたまれないわ。

 オオカミの群の時なんか、ボスがダッキさんにもふられてヘソ天しながら恍惚としてる姿を見た群の仲間が「どーすんだよコレ」っ目で私を見てきた時は、私は「どーにもならんわコレ」と思ったわ。

 野生の勘でダッキさんの強さとか本性とか分かるんかね。あと、私がダッキさん(みくりや丸)の持ち主だとかも。

 まぁ中級一に上がれば魔物・魔獣のゴブリンとかコボルドなら討伐任務を受けられる様になるんだけどさ。

 ゴブリンは良いとして、コボルドはなぁ……。あいつらも、もふもふしてるからなぁ……。


 それで、その暴走もふリストのダッキさんなんだけど、目の前でデッカい白いと言うか白銀の毛並みのオオカミっぽい獣に抱き付いて、その毛に埋もれてもふ吸いしております。

 はい、お察しの通り、神獣フェンリルさんですよ。このフェンリルさん、性別は女性ですって。確かに雰囲気は柔らかい気がする。

 今朝、突然のご訪問です。町の外から大声で呼び出されました。町中パニック状態でしたよ。


―オイコラ、駄女神。あんた、暇神獣(じん)に私達の事をバラしたな?―


 返事が無い。いつか締める。


「すーはー……、はぁぁぁ……。これが幸せと言うものなのですね……」


『うむうむ。妾の毛並み、しかと堪能するが良いぞ』


 恍惚の表情でもふるダッキさん。フェンリルさんもダッキさんのもふり技に満更ではない様子。

 狐娘と(メス)狼の取り合わせって、これも百合なんだろうか……。まあダッキさんの本体と言うか本性と言うか、『みくりや丸』で性別とか無いんだけどさ。……無いよね?


 そんでこのフェンリルさん、お子様が二人(二頭? 二匹?)居られましてね。そのお子様達も一緒に遊びに来たワケです。元気一杯な男の子と女の子が。


 その結果がこちら。


『タマモおねえちゃん! もっと! もっと投げて!』


『おまえばっかズルいぞ! ねえちゃん! もっと高く投げてよ!』


 はい、子フェンリル達に懐かれて現在進行形でフリスビー遊びを強請られています。

 いや、子供って言っても大型犬の成犬くらいの大きさしてるのよ、この子達。姿はコロコロした子犬なのに。お母さんはニトンのトラックくらいあるかな?

 最初、子供達にジャレつかれて押し倒されてベロベロされて涎とかで悲惨な状態にされたので、押し退けて叱ってお座りさせて待たせて、その場で木を削って即席でフリスビー作って投げたら、ウケてしまってコノザマだよ。

 まあ、この子達って素直で可愛いから許す。


『済まぬの、タマモ。この子らの相手をさせてしまって』


「構いませんよー。子供は元気に遊ぶのが仕事ですからねー。ほーれ! 行ってこーい!」


『こんどはオレ、ぜったい取る!』


『まけないよ!』


 おー、尻尾千切れんばかりに振って、すっ飛んでくわ。


 はぁ~、なんか呑気で良いわ。フェンリルさんが現れた時にパニック状態に陥った町も今は落ち着いてけどさ。町の皆さん、遠巻きに見物してるんだよねぇ。


 どーしよかね、この後。

 困った。


※唐突なファンタジー定番のフェンリルさん登場。果たしてレギュラー入りするのか?

※もふリスト美女って良いよね……。

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