序章
父さん。なぜ。そんな悲しげな顔をするのだろう。
パパ。なんで。そんなものを持っているの。
「すまない」
僕たちは、わたしたちは。
何をまちがえたのだろう。
そんなときすらも、突き刺す冷たさは相も変わらず今日を白く染める。
世界は白く、僕らの町はよく雪で覆われていた。一応北に位置しているが雪害は何年に一度で草木も育たぬ土の枯れた土地ではなかった。
たしかに木の実なんて甘いものは年に数回食べられるくらい。けれどそんなに不自由もなく幸せにやってきた。
齢12歳。僕らが誕生日を迎えたその日。
なぜか村が氷漬けになった。
何でかはわからない。村全体が大きな氷山のようになってとがり、何かから逃げようとしたあとのようなそんな向きで刺されて散った血液も空中で凍っていた。その顔はなにか見てはいけないものを見たというようにおびえていた。
あたしたち二人で村を見てまわるけど。
村の中心から四方八方に飛んだ剣のように鋭い氷が広がりそれに追随するように分厚い氷壁が押し寄せたようなそんな感じ。
「にぃいこう…」
「・・・」
「白!!」
悪趣味なものを見て、全身が氷漬けになって顔面も蒼白で肌に血の色はない友達だった子をみて。
あたしは今すぐにでもこの場から離れたかった、いやな感覚もするし。
そうやって声をちょっと荒げてにぃをもう一回呼んだ。
「白」
それでも普段と変わらない声であたしの名前を呼んだにぃからは。
とても隠しきれてない怒気が滲んでた。
一番見たくなかった、痛みに一瞬に染め上げられた可愛らしく整った顔を。
もう口まで塞がった窒息もしていそう、彼女付近で不自然になっている氷は口元から垂れたであろうよだれによるものなのか。
そんな、そんなどうでもいいことよりも。
仲がよかった女の子、好きな娘だったんだ。
こみ上げてくる激情は抑えも効かずおもむろに振り上げた拳でぶ厚い氷をゴッゴッと殴る。
それでも収まらずもう一度振り下ろそうとした掌でそびえる壁に触れた。
そして全身の毛が逆立つような
にぃがびくっと震えたのを見て
あたしも気になって氷を触ると寒気がして。
「…気色悪い」
僕が苦手で感じやすいとても鋭い悪意。
それがとても憎たらしくて。