規格
確かに考えてみればこの機械についている端子の規格見たことのないものばかりだった。USBとかHDMIなんかは規格が決まっていて、それに合わせて会社がパソコン用のマウスやらスキャナやらを作る。だからこそほかの会社の製品を買っても同じパソコンで使えるのだが、それがないということはこの機械にさして使うための機器は独自開発しなければならなくなる。
「どうりでこのパソコンの端子の形見たことないものばかりだったんだな。」
と僕が言うと、ヒロにはぁ?と言われてお前何言ってんのみたいな顔をされた。
「だってお前この端子使えるの持ってないだろ?」
と言ったら、ヒロはあきれ顔で
「新しい規格ができたんだよ。通信速度やらなんやらの問題で全部この規格に統一されてるんだ。もう、新しいのに切り替えが始まってから10年もたってるんだぞ。」
とそんなことを言われた。う、嘘だ。そんなわけない。とそう思うも机の上からガサゴソと見たこともない機器を取り出されそれが全部あの端子の形だったから信じざるを得ない。
「今まで何世代前のパソコン使ってたんだ。昨日壊れたのだって寿命だったんだろうよ。そういえば、お前のうちにあるテレビとゲーム機も相当前の奴だったな。お前くらいだぞいまだにゲーム機とテレビつないでゲームする奴」
あきれてたのがだんだん僕がいつもの様に世間知らずを発動させたのが面白くなってきたのであろう。ヒロは声を立てて笑い始めた。
「あのゲーム機はいいだろ、古くても動くし面白いソフトだっていっぱいあるんだから。」
と憤慨するものの、これ以上続けてももっと馬鹿にされるだけだ。僕が恥ずかしくなって黙っているとひとしきり笑い終えたヒロがごめん、ごめんと言って真面目な顔になる。
「そうなんだよ。規格だけはとても新しいものなんだ。だからやっぱりこれはどこかの研究組織か極秘機関が秘密裏に開発したんじゃないかって」
と言って僕の手からパスコードの書かれた紙を取る。
「そんなだいそれたものなら、や、やめたほうが」
そういって止めようとするもヒロはどんどん文字を打っていき最後に決定ボタンらしきものを押して、僕に紙を返した。どうやらパスコードはあっていたようで画面は間違ったワードを打った時とは違う反応を見せる。
「さぁ、これでこいつの正体がわかるぞ」
と言ってヒロは画面を食い入るように見つめる。
僕も何が起きるかそわそわしながら今か今かと変化を待った。