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ロボット少女  作者: onepoint
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パスコード

 こんな風に困ったことがあったときすぐに相談できる相手は一人しか思い浮かばない。僕はいつも彼をヒロと呼んでいる。ヒロとは大学で知り合った現在では僕の唯一の友人である。


 ヒロは僕と同じロボット好きであり、一緒にロボットを作成する同士でもある。基本的には裕斗が設計でヒロがプログラミングと役割が分かれているので僕らはともに切っても切り離せないパートナーでもある。


 自宅から出て5分ほど歩くと彼のマンションが見えてくる。

 このマンションの最上階10階に彼の部屋はある。どうしてそんな高い所に住んでいるのか聞いたことがあるが、高いところが好きらしく僕としては低い階に住んでくれていたほうが行くのが簡単でよかったりするのだが。


 エレベータで上の階を押すとすぐに扉があく、すんなりと部屋の前までたどり着くことができた。呼び鈴を鳴らそうとすると部屋の前に指紋を認証する台があるのが目についた。またこんなものを作ってと思いながら物は試しと指を台に触れさせると、かちゃりと音がした。

 

 まさかと扉に手をかけると何の抵抗もなくするりと開く。

「おーい、ヒロ」

 と僕が声をかけると奥からのそりと顔を出した。

「ここの認証台役に立ってないぞ。」

 と僕が声をかけると、ヒロははははっと笑って

「役には立ってるさ。こうして君は入ってこれただろ。」

 と言う。それが役に立ってないというんだがな。と思ったが声に出すのはやめておいた。


「それで今日は何の用だい?打ち合わせは明日の約束だったはずだけど」

 とあくびを噛み殺しながらヒロは言う。よく見れば服装は寝間着のようで、土曜日だからってこいつは今の今まで寝ていたようだ。


 ヒロは髪は短く切りそろえており、清潔感にあふれていて服装にも気をつかっているようだ。そしていつも眠たげな眼をしている(実際いつも眠いのかもしれない)。けれどその眠そうな目が優しそうという評価をされ、たいそうおばさまがたや女の子たちに人気があるのは許せないことだ。自分だって徹夜もよくするし眠そうな目をしているのだが(こちらは目つきが怖いという評価になっている)。


「じつは・・・」

 と言って僕はヒロに事情を説明し始めた。彼はしきりにうんうんとうなずいて、時折お~と感嘆しながらこちらの話を聞いてくれた。だんだんと目に生気が戻ってくるのを見るにどうやらヒロも興味を惹かれてきたようである。


「こういうことなんだ、それでこの機械を見てもらえないか?」

 と僕はそう言って彼にパソコンらしき機械とじぃさんに一緒にもらった紙袋を差し出した。ヒロは受け取ると彼の机へと向かう、そして机の上のものをガッと脇によける。いろいろと机から落ちていったがもともとヒロの部屋はごちゃごちゃしているし、多少床にモノが落ちたくらいではだれも気にしない。

 

 二人は機械の前に立つと目配せをして画面を広げた。そうしてヒロが電源ボタンを押す。前回と同じようにボタンが赤く光り、画面にコンソールが表示される。

「この画面が前回も出てきたんだが何もできなくてな、それでその後画面を触ってたら突然電源が落ちてしまったんだ。」

 裕斗がそう伝えるとヒロは「少しかしてくれ」と言って、コンソールに何語かわからないキーボードを使って文字を打ち込み始めた。

 何度か文字を打っては決定キーを打つうちに


「これ、パスコードを入力するんじゃないか?」

 とヒロが言った。確かに言われてみるとそんな感じの画面なきがしてくる。

 そんなこと言ってもパスコードなんて聞いていないぞとも思ったが、あの謎の紙袋の中に入っているかもしれない。僕が紙袋をあさり始めるとヒロは何やらキーボードの文字の写真を撮り始めた。

 

 僕は袋に入っているものを取り出していく。

「カメラにマイクかな?あとはよくわからないケーブルが数本と、あ、これか。」

 僕は袋の奥に落ちていた、メモ用紙を取り出す。そこには5つの文字が記されていてこれに対応するものをキーボードから打ち込めばよさそうだ。

 するとヒロが横から

「今、この文字を全世界の文字と画像検索をかけたんだが類似するものが見つからなかった」

 と言ってくる。


「なんだって。ということはこれはこの世界のものじゃないってことか?」

 どうにも不思議なことになってきた。するとこれはいったい誰が作ったのだろう。

「いや、この世界のものじゃないっていう可能性もあるけど、このような文字を使う少数民族用のパソコンかもしれないし、もっと可能性があるのは人工言語の可能性だね。」


「人工言語?」

「あぁ、このパソコン用に開発された独自言語があって、これはその端末の一つなのかも。これそう考えると、やばいものなんじゃない?この機械相当しっかりしてるしいたずらじゃなさそうだ。どこかの特殊機関のものだったりして。そうだったら僕たちこうだねって」

 っていうとヒロは首を両手でぎゅっと占めるしぐさをしておどけて見せる。

 なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。あのじぃさん何者だったんだ。


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