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ロボット少女  作者: onepoint
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壊れたパソコン


 自分の言うことを聞いてくれる召使が欲しいと思ったことはないだろうか。自分の代わりに掃除をしてくれる、洗濯をしてくれる、料理をしてくれる、さらには自分の代わりに仕事に出て働いてくれたらどんなにかよいだろう。人は楽をしたい生き物であるからこのような取り組みはずいぶん前から行われてきた。古くは奴隷制度というものでこれを実現していた。昨今ではロボットがこれに変わろうとしている。ロボットに自分たちのしたくない仕事を押し付け、奴隷のように人権を無視した長時間の労働を強いる。確かにロボットには自我も人格もなかろうがこのようなことが許されるのか。


 カタカタとキーボードを打つ音が暗い部屋に響く

「ふぅ、こんなものかな」

 山田裕斗はレポートを打つ手を止めると時計を見やる。

「もう23時51分じゃないか」


 急いで提出用のサイトを立ち上げる。提出期限の23時59分がすぐそこまで迫っていた。レポートは「近代のロボットによる労働に関する考察」である。


 授業内容からしてみれば、本来なら人の側に沿った内容、例えば今後どのような職業がロボットによって代替されるべきだとかそんなことの考察を行うべきであろうが裕斗はそのロボット好きが高じて授業中はロボットによってこれから減るであろう人間の労働時間よりもこれから増えていくロボットの労働時間に憤りを感じていたのであった。


「このくそwifiめ」

 叩きつけるように叫ぶがそんなことwifiが聞いてくれるはずもなくなかなかサイトに接続できず、レポートが完成したとは言えなかなか提出できない。ロボットには優しいがwifiには厳しく当たる裕斗である。

 そうこうしているうちに時計は55分を示している。

 これは終わったかな、と裕斗があきらめようとしたときパッと画面が切り替わった。

「よし、つながった」

 あとは提出するだけ、と画面上にレポートをコピーして送信ボタンをクリックする。


 すると何やら警告が出てくる。

「このサイトを信用するか」

 これは学校の先生が作成したサイトであるし、焦っていた僕はすぐに「はい」を押して警告を許容することにした。

 10%、20%とどんどん内容が送られていく。しかし90%を超えたあたりでヒュンと音がして画面が真っ暗になってしまった。

「あれ、どうした」

 急に消えてしまった画面に少し声が上ずる。

「大丈夫かっ!」


 声をかけるが何の反応もしてくれない。急いでもう一度電源を入れるがOSが立ち上がらない。ただパソコンを冷やすために空気を送るファンだけがむなしく唸り声をあげるのみである。

 呆然と再起動を繰り返すパソコンを見やりながら、最後に送ったレポートは届いているだろうかとそればかりが気にかかった。


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