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あなたが伯爵2

「ハハハハハハハハハ、やっと見つけたぞぉ!!!ガシュゥ!!!!!!!!!」


ババババババババババババババ、凄まじく大量の玉が超連続で飛んでくる。


「くそっ、なんだ!!………おいおいぃぃ、本当に何なんだよぉぉぉぉぉ!!!!?」


向こうからやってきた、肉塊と、機械の合わさった巨大ななにか、スライムとすら思えるその不定形な肉塊は、口らしきものを体のそこかしこからぱっくり開けている。


「フハハハハハハハハハハ、ヒィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!!!」


バラバラと弾丸をそこかしこに撒き散らしたその化物は、その肉塊をぐちょぐちょとうねらせながら下水道を這い進んでくる。


「くっ、【魔導破弾】!!【魔導破弾】!」


ハンスがいくつもの光球を飛ばした。


それは巨大な爆発をうむが、煙から出てきたやつは体表を大きく抉らせながらも、再生の兆候を見せていた。


「きかぬぅ、きかぬわぁぁぁぁ!!!」

「………ならばっ!!」


ハンスは機転を利かせ魔法を天井にあてる、その瓦礫が化物と道を押しつぶした。


「これで終わりか?」

「そんなわけがない!!早く逃げるんだ!」




「………。」


俺達はガシュ、と呼ばれた男の子を結局自分の拠点に持って帰ってきてしまった。


拠点のベットの上で、やつは明滅を始め、やがて消え去っていく。


その夜のことだった、俺は夜、いきなり叩き起こされて目覚めた、目の前に女の顔がどんとあってびっくりしたが、ガキンチョだったのでがっかりした………おっとイカンイカン。


「なんだ、マリア………。」

「お兄ちゃんを助けてくれたのね。」

「まぁ、助けるどころか頭をぶん殴って拉致してきた身だが………誰から聞いた。」

「そりゃあもうお兄ちゃん本人からに決まってるじゃない。」

「………やつはいま実体化してるのか。」

「ううん、してないわ、明滅しちゃってすぐに消えちゃった、けど、代わりにこんなものを渡してきてくれたんだ、ほら。」


俺はお兄ちゃんが渡してきたとかいうものを見てひったくる、これは、俺達が今まで使っていた下水道の見取り図か。


『ちょっと白衣のおじさんからペンを借りました、ごめんなさいって伝えてください。』


と書かれたあと、地図のある一点にバッテンが書かれている。


「………これは。」

「貴方達、黒フードの人達のところに行くつもりなんでしょ?お兄ちゃんが拠点の位置をしっかり書いてくれたのよ。」

「俺達が黒フードについて探しているっていうのは、どこから?」

「あなたが、下水道中に残してきた書き置きに決まってるじゃない、黒のフードの人達について聞かせてほしいって。」

「………あぁ、そういえばそんなもん残してたな、期待はしてなかったが。」


俺はとにかくその地図を閉じるとマリアにお礼を言う、マリアはじゃあねと言って立ち上がり、去っていった。




「………なんだか緊張してくるってもんだな。」

「はい、全くですよ。」


なんだか知らないが予感がする、これが、最後で最大の山場だと。


この都市にやってきて一ヶ月と一週間。


都市に渦巻く怪奇現象。


すべての鍵を握る伯爵。


それを付け狙う謎の集団。


原始の宇宙と大樹の世界。


すべての要素が、すべての出来事が俺の頭の中で一巡していく。


そして、ついに俺たちは、みつけたんだ。


この事件の鍵を握る、黒フードの謎の集団の本拠地を。


思えば、どれもこれもいきあたりばったりな探検だったが、馬鹿は馬鹿なりのやり方で見つけてくるってものだ。






扉を蹴破るのも何回目か、とにかく突入した俺達だったが、中の通路は想像以上に広かった。


「………。」


俺は他の二人と目配せしてから無言で潜入を始める。


通路の一番奥の扉をそっと開けると、広場が見えた、5mかける5mくらいの広場だ。


「………!!なんだこれは。」


目の前にどさりと倒れている幾人もの黒フードの男たち、あるものは全身を吹き飛ばし、あるものは全身を焼かれている。


「………なんてことだ。」

「あの巨大な肉塊がやったんだろうか?」

「わからん。」


と、広場の奥の方に扉が見えたのでその扉を開けて中をのぞく、そこはなにかの事務室だったようだ。


「………この書類は。」

「回収しとこう、一応な………。」


俺達はいつぶりかもわからない資料荒らしを続けた。




「………うぉぉ、何だこりゃ。」


壁にのめり込む機械に、ドラゴンがすっぽり入れそうな巨大な………水槽?だが、いまやガラスは割れて、中からは無数の管が産卵している、あちらこちらに散らばる機械類やガラス片をよけて俺達は向かう。


中にはなんと、先程の水槽のような何かと機械が融合しているものすらあり、奇怪極まったガリルヤでもこれほど狂気じみた空間は中々見られない。


ボォン………ボォォン!


「なんだ!!」


遠くから聞こえてくる爆発音、機械音、俺達はそれが聞こえる方向に走り出す。


ババババババババババババババ、銃声の音と、爆音、切り裂く音、空を切る音、衝突する音。


通路の向こうから走ってくる黒フードの男達。


「!!!だれだお前たちはぁっ!!」

「まさか、お前らもあいつの………!!」


俺は狭いので短剣を抜き、臨戦態勢を整えるが、奴らは俺たちにタックルを噛まして、俺達の後ろの通路に消えていく。


呆然とする俺達の目の前で、通路が爆発四散する………。





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