8.私の空腹は強い
誕生日も無事に過ぎいつもの日常が戻ってきた。
…筈だった。
昨日オルガを紹介されて一緒に暮らすことになった。
まぁ、これは設定通り。ただ問題なのがこと後だ。
朝起きて侍女達と共に身支度を済ませ朝食を取ろうと部屋を出て、もう食堂まですぐそこというところに差し掛かった時だった。
なんと!
オルガが立ってるじゃないか!
相変わらず俯きがちで床を見ているのかこちらには気づいていない。
なんでそんな所にいんのよ…。
お父様もお母様もお兄様も皆んな既に食堂に入っているはず…と言うか、オルガ自身もお父様とかと一緒に連れらてここまで来たんじゃないの?
何故そこにいるの?
私、まだ何もしていないと思うのだけど?
1人悶々と考えながら立ち止まるわけにもいかず短い道のりをゆっくりゆっくりと進んでいると、それに気がついたオルガが声を掛けてきた。
「…おはようございます。ミュリエル様。あの、昨日は…その…私のようなものにお気遣い頂いて……。」
若干下を向きつつ目を泳がせながらごにょごにょと言葉を続ける。えっと、とか、あの、とか話すのに時間がかかる上に聞き取りにくい!辛うじて昨日、体調を案じた事に対しての“ありがとう”の気持ちを伝えてくれているのは分かった。
「おはようございます。そんなに気にしないで。あんな大勢の人の中で連れ回されたら誰でも疲れてしまうもの。…それよりしっかり休めた?」
「…はい。…お陰様で。」
「それなら良かった。さて、お腹も空いたし早く行こう?うちの食事はとても美味しいの。」
「…えっと、その……。」
オルガはまだなんかごにょごにょしていたがそんなの御構い無しだ。
「…早く行こう?」
私の空腹がお亡くなりルートへの恐怖心を上回った結果、オルガをの手を取りそのまま食堂へと引き連れて行った。
彼は驚いた顔をしていたがそのまま大人しく付いてきた。
そして私自身も自分の行動に内心驚いていた。
…恐るべし私の空腹。
そして一緒に食堂に入った瞬間、お父様に「もうそんなに仲良くなったのか、やっぱりお父さんが思った通りだったよ」などと食事中色々と声をかけられたのは言うまでもない。
無事に?食事も終わり解散し、部屋に戻って今後の対策でも考えようと机に向かった。
ここまでは全然設定通りに進んでいると思う。…朝のオルガにはびっくりしたけど。
まぁ、感謝されていた事だし悪評パワーの影響も少しは和らげられているのかな?
ただ油断は禁物。これから成長して話が進み主人公が登場したら全てがひっくり返るかもしれない。とにかく彼女が現れるまでは良い子にして悪評を少しでも無くしてお亡くなりルートの芽を摘むことが今の私にできる最大限だ。
「…よし。」
今日起きた出来事とオルガの変化についての備考などを書き留めると彼の様子を確認するべく部屋を後にした。
まさか部屋があんな事になってるとは思いもしなかったが。