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4.死亡回避作戦を考える

何回か読み直しているうちに思いました。

“アイラ”って凄い沢山使ってましたね…

あまりにも多すぎたので主人公の名前やその他諸々変えたりしてたら結構時間が掛かってしまいました…


我がクロライア家の爵位は公爵。


私は現在お子様。


ミュリエル自身(私がゲームの事を思い出す前、こちら側で過ごしてきた)の記憶を思い返す限り王家主催のお茶会に連れていかれたり父の仕事に同行したり、新たな従者を紹介されたこともない。


という事は、まだこのゲームの主要人物との関係性が築かれていない!


すなわち手の打ちようがある!!


そしてもっと重要な事が発覚したのだが、ミュリエルが私として覚醒する前の言動がこれでもかと言うぐらいワガママ気ままで手のつけられない子であった事だ。

何かあったら取り敢えず泣いて喚けばなんでも叶うという思考回路。気に食わなければ泣く。喚き散らす。

原因は両親も念願の実子であり女の子だった私に甘かったということも考えらる。

ゲームの中でもそういう様子があり人間としてダメな奴と思っていたがこれは予想をはるかに超えていた。

だから私がさっき侍女達にごめんねと言った際に驚いたような顔をされたのは。

まぁ、今まで謝罪するどころか人を労ったり気を使うという事を知らない子がそういう言葉を使ったのだ。

そりゃぁ、驚くわ。


そして誰のルートを思い返してもミュリエルが主人公を虐めたり、嫌がらせをしたりするから命を絶たれるのだ。

だったら単純に私が彼女に危害を加えなければいい。



上記のことを踏まえ、主人公は絶対に虐めない事を前提にまずは私自身のこの性格とこれまでに周りに与えてきた印象を改善しなければいけないと考えた。


私が主人公を避けていこうと物語の内容を思えば絶対に彼女とは接触する形になるだろう。


だったら私は貴方にはなんの危害も与えない安全性のあるものですよー、2人の恋路を静かに見守りたいだけよーと言う気持ちを分かってもらうためにも私の印象を改善しなければ!!





やる事は決まった。





決意を新たにしているとコンコン…と部屋の扉が叩かれる。

静かにしていて欲しいと言ったはずなのに…と思っていると外から聞き覚えのある声が聞こえた。


「…ミュー?倒れたって聞いたけど大丈夫かい?」


私はゆっくり扉へ近づくと声の主を迎え入れた。


「はい。私はなんともございません。わざわざお部屋まで来ていただいて…。ご心配をお掛けしました、お兄様。」


「…あぁ、お邪魔するよ。」


私が招き入れ椅子を進めると驚いたような表情をしたが一言返事をして腰を下ろした。


そう、彼の名はエドワード・クロライア。

私の義兄であり、攻略対象の1人。

サファイアブルーの髪に黒紫色の瞳。

雰囲気の柔らかな好青年で2つ上。頭脳派だがいざとなればちゃんと守ってくれる。幼いながら溢れ出るオーラは攻略対象だからなのか…。将来は爽やかイケメンになる予定だ。


「本当に大丈夫なのか?以前と少し…いや、かなり物言いが穏やかな気がするのだけれど、熱とかは…?本当は何処か悪いんじゃないか?」


「本当に大丈夫です…!」


私は立ち上がるとその場でクルッと回って見せる。

ちょっと普通に話すだけで心配されてしまうレベルとは…

ゲームのミュリエルは……。

これは死亡ルートから脱出するのは中々難しいかもしれない。


「私だってちゃんと成長してるんです!」


「それもそうか、もうすぐ7歳になるんだもんな。よし、立派に成長しているミューの為に誕生日には素敵な物を贈ることにするよ。…そう言えばこの前に欲しがっていたドレスがあったな…。」


欲しがっていたドレス…?

ミュリエルが欲しがっていた…?

ゆっくりと記憶を辿っていく。そう言えば、お母様と出かけたときに見かけた…

そうだ、ショーウィンドウに飾られていたゴテゴテと飾りのたくさん付いたギラギラのドレス。公爵家の人間がそれを着るのか!?と思わせる様なデザインだったな…。

そして、それが欲しいと喚き散らしていた覚えが…。


「お兄様、せっかくのお気持ちですがそれは絶対にやめて下さい!!公爵家の人間があのようなドレス…もう欲しくないです!」


「おや?あんなに周りが止めても欲しがっていたと言うのに…。本当に成長している様だね。これなら多少は大丈夫だろう。」


なんなんだ、あのお兄様のなんとも言えない表情は…。

きっと私の事を半信半疑と言ったところだろうか?

お兄様の目を見ていると“コイツなんか企んでるんじゃねーか?”って思われている様にとれる


しかし、私は死亡ルートを回避し主人公達の甘々を見守る為に頑張ると決めたのだ!

こんな所で諦めないよ!


「…?何が大丈夫なのですか?」


「いや、こっちの話さ。実はこの後お父様に少し呼ばれていて、僕から出向いて来て悪いんだけど…。」


「そうだったんですね、きっとお父様、お待ちですよね。長い時間お引止めして申し訳ありません。早く行ってあげて下さい。」


お兄様は部屋を出る寸前まで、悪いと言いながらお父様の部屋へと向かっていった。

兄を見送り部屋に戻った私は再びベッドへと戻った。


もうすぐ私は7歳の誕生日を迎えるらしい。

誕生日が来ることは攻略対象となる従者“オルガ・テオドルス”がやってくる日がそこまで来ているという事。







……展開が早すぎないか?





まだ何一つ改善できてないし、そもそも心の準備が出来ていない。

お兄様も“私”になってから今日初めて会った訳で信用もなければワガママ気ままなお馬鹿義妹の肩書きなまま。

侍女達の中でもそれは同じ。

私がオルガの事をそっとしておいても周りから私の悪名が耳に届くことは間違いないだろう。


このままの調子で進めば間違いなく私は死亡ルート一直線。


ミュリエルの設定を作った私達が憎らしい…!!

もっとみんなが円満に終われるルートを作ればよかった!


今更思っても仕方がない。

私は大きな溜息をつくともうすぐ迎えるであろう7歳に向けて今までの行いを清算して行こうと考えながらふかふかのベッドの海に意識を投げた。



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