12.買い物…?
かなり空いてしまいました…。
そしてやっぱりお仕事合わないみたいであまり体調がよろしくない日々が続いております…。
ただお話は頑張って続きを書きたいと思っていますので、またよろしくお願いします!
王家主催のお茶会の参加が決まって数日後。
現在、お兄様とオルガと私は馬車に揺れられ街まで向かっている最中。
「ミュー、どういう感じのが良いか決まっているのかい?」
「お言葉ですが…お兄様、私のものよりオルガの物優先ですからね!」
「それもそうだが…。せっかく王家主催のお茶会に招待されたんだ。クロライア家の顔として皆がしっかりしないと。」
そう、私たちはこの街一番のブティックに向かっている最中。
お茶会参加の決定と同時に浮上した衣装問題。
私やお兄様はまぁ、クローゼットを漁ればなんとでも見繕える。
が、オルガはどうだろうか。
お父様の提案で私の付き人として一緒に行くことになったが今までこんな大きな規模のものには参加したことがなく、それに相応しいものが揃っていなかった。
「せっかくの晴れ舞台なんだから!3人とも一式そろえちゃいましょう!!」
お母様のこの一声からは早かった。
話はぽんぽんと進んで行き、この街一番のブティックへと向かう予定が立ち今に至る。
お母様なんかオーダーメイドで作るなんて言い出すものだから止めるのには苦労した。
この年齢でオーダーメイドとか…すぐ成長して着れなくなるのは目に見えている。勿体ないよ、お母様…。
私が物思いにふけっていると遠慮がちにオルガに声をかけられた。
「あの、ミュリエル様。一つお願いしてもいいですか?」
「どうしたの?」
「もし良かったらなんですけど…、是非ミュリエル様に見繕って頂きたいなと、、」
「え」
「申し訳ありません…!つい…」
思わず口をついて出てしまった私の一言にとても焦るオルガに私は慌てて言葉を続ける。
「いやいや、ごめんなさい。つい驚いてしまって…。私なんかでいいの?私の昔の残念なセンスを知っているからそんな事言われると思ってなくて。」
「僕はミュリエル様に選んでいただきたいんです。」
オルガよ…。ここでそんなキラキラな笑顔を振りまくんじゃない。それは主人公に向ける顔だろうが。
しかし、そんな攻撃に弱いのは確かで。
「そこまで言ってくれるなら、オルガの為に良いものを選んでみせるわ!」
「ありがとうござます!」
オルガはさっきより更に眩しい笑顔をこちらに向けとても喜んでいた。
きっとこの顔も主人公が現れれば彼女専用になるんだろうな…。
そう思うとみられる間に沢山みておこうという気持ちになった私はキラキラ笑顔を焼き付けておこうと見ていると正面に座るお兄様の方からすこし不満そうな声が聞こえた。
「ミューは随分とオルガの事を気に入っているようだね。」
「お兄様…?」
「オルガもオルガでミューにとても懐いているみたいだし仲が良くていいと思うよ。ただ、僕が一緒なのを忘れないでくれよ?」
深く腰をかけ腕を組む様はもう本当にカッコいいのだがそのお顔にはいつものような笑顔は見られなかった。
何か気に触るような事があったけ?
今の私は昔のミュリエルよりかなりいい子に育っている自信はあるが、お兄様は私が私になる前からミュリエルの事なんて出来損ないの子と思われていたし、私になってからも生涯平和に生きていくべく必要以上に関わったり迷惑をかけて矛先が向かないように努力してきた。
今になってそんな顔をされるとは…。
まぁ、いくらいい子にしてるからって思うところはあるんだろう。…ほら、私が選ぶ物とか。
いままで散々なセンスの持ち主だったからそんな子が人様にものを選ぶなんて、と言う事なんだろう。
しかし、現在の私は人並みのセンスは持ち合わせている…はず…。
「心配なさらなくても大丈夫です。昔みたいに変なものを選んでお兄様に恥をかかせるような事はしませんから!」
とにかく、今の私はお兄様には恥をかかせるような事は絶対にしない。安心してもらおうと宣言すると今度は深いため息をつかれてしまった。
「はぁ…。僕が言っているのはそういう事ではないんだが。まぁ、いい。それよりクロライア家として参加するのだから何かお揃いにしようか。」
「お揃い…ですか?」
「あぁ。それに一目でクロライアだと分かる方がいいだろうしね。」
お揃いの話になった途端オルガが横から勢いよく割り込んできた。いやー、ほんとオルガは明るい子に育ったね。
「あの、それなら紫色の物を身につけるのはどうでしょうか?クロライア家の人間と言えば紫色じゃないでしょうか?」
何を隠そうクロライア家の人間は代々皆、紫系統の瞳を持って生まれる。
個人差もあり様々な色味があるがベースは紫なのだ。
公の場に出ても大体は瞳の色で、クロライアの人間だという事が伝わる。
なので周りからはクロライア=紫色とよく言われている。
「そうだな。じゃあ店に着いたら紫色の物を探してみようか。」
その後もどんな形のドレスがいいかとか、靴のヒールの高さについてとか、タイにするかリボンにするかなどの話が続き気がついた時には店の前だった。