久々に来たな~
「日本語も分からねぇのか、ボンクラ女がよ!!」
最近、ストレスなく生活ができたため、こんなストレスの溜まる言葉を言われたら、困るもんだ。
日本語は分かるんですけれど、意味が分からないという意味で固まるしかないというのが、現状である。
「汁だく牛丼だって、言っただろ!」
なんていうか、人の基準というものがある。言葉を知っていても、意味まで分からないというのが世の中。
正直、分からん基準に悩んでいるのは勿体無いと思うわけだ。
「も、申し訳ございません。ただいまご用意致します」
「これじゃあ、汁牛丼だろーが!!」
普段通りの仕事で、普段通りのお客に、普段通りのメニューをご提供してのクレーム。
唐突過ぎるものであり、お店側も困惑するものだ。
「汁だくの基準なんですけれどね」
「機嫌悪いんじゃない?」
「店に当たらないでくださいよ、ホント」
他のお客様の汁だく牛丼と同じものである。もし、もう少し汁を入れたい場合は、『汁だくの汁を多めで』『汁だくだくの牛丼で』などと、注文してください。ただし、『汁だくの牛丼の大盛り』と頼んだら、普通に大盛りが来ます。
『並盛りでいいんだよ!』
って、後悔しながら食べていたお客様は、ちゃんとオーダーミスを自覚していて、良いなと思いました。
「はい、汁だくだくの牛丼です」
ほんの少し、ひとてまを加える。たったそれだけで解決する事なのに。
どうしてか、できないものである。
◇ ◇
「日本語も分からねぇのか、ボンクラ女がよ!!」
また別の日。というにしては、翌日の事である。
昨日と同じように、”汁だく牛丼”のご注文。
「これじゃあ、汁牛丼だろーが!!」
まーた、機嫌悪いんかい。
マニュアル通りの対応、マニュアル通りのこと。
「ずっと前からも俺言ったよな!汁だく牛丼だって!こんな汁の少ないのを汁だく牛丼だって言うのか!?ええっ!?」
世界は俺で回っていると、そう宣言しているかのようなクレーム。こちらの基準を話したところで、言う事は決まっている。
「日本語が分かってねぇー!」
とにかく、否定である。相手が謝るとかどーでもよく、否定なのである。
こちらの意見というものを聞かないというより、封殺してくるのである。
「あの、病院に言ったらどうですか?普段と変わりないものを提供していますけど」
何気ないアドバイスであった。
お客様は当然、不用意な事を聞けば、激昂し、本社のど偉い方にクレームをつけるのであった。
だが、1週間後。
「いらっしゃいませー」
「……この間はすまん」
ぶり返すような事を言うんじゃネェって、この間のお客様が来て、思ってしまう。
だが、今日のお客様は今までに見た事がない落ち込みぶりであった。
「軽度の認知症って診断されたんだ」
「そんなの知りませんけど?」
こんなハッピーエンド(?)かどうか、知りませんが。
最近、クレームで起こった出来事だったんですが。
クレームの内容が正直に、”意味分かるけど分からず”。怒られ、頭を下げたんですが。
相手がご老体でして、とにかく罵声の嵐でした。ただ、ご本人は正論を言っているっぽいんですが。
『午前中に再配依頼したのに、なんで午後に再配で来るんだ!?』
『そのお荷物、指定時間なしであなたが再配依頼されてますけど?ちゃんと午前希望で頼んでくださいよ』
年取った方には正直苦労しちゃいますね。
『というか、10時頃に再配依頼したら午前中に来れませんよ。朝の内か昨日の内にしてください』
なんて言ったら、サービスが悪いだの。最近の若い奴は日本語も理解できないバカだの。
本当に困りますよ。笑うしかないんですよね。
困ったもんです。ホント。