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四話『野良猫と賄いご飯』

 その翌日、ミシュリーヌは「フェルマーさん家の賄いご飯」を三人分ほど携え、アンリの小屋を訪れていた。


 コンコンコン――


 ミシュリーヌが小屋の扉をノック。


「…………」


 反応がない。


「……?」


 あれ、と首を傾げ、ミシュリーヌは再度扉をノック。今度は少し大きめの音で。


 コンコンコン――


「…………」


 反応はない。


(……あ、あれ?)


 ミシュリーヌは更に深く首を傾げ、怪訝以外に焦りも覚えた。


 人の住処を訪ねて、返ってきたのは沈黙のみとなれば、それが指し示す解は一つである。


 ――すなわち、留守。


(ど、どうしよう……)


 都合四度目となるミシュリーヌの小屋訪問において、今までの三度は全てアンリがいた。一日一度の頻度で通っていたことを考えると、アンリはこの三日間を小屋で過ごしていたこととなる。


 ……と、そこまではミシュリーヌにはわかったが、アンリが普段どのように生活しているのかを知らない彼女に、それ以上を考えることはできなかった。


 ――アンリは普段、森で動物を狩ったりなどして生活するサバイバル生活をしてすごしている。


 本来の狩人などは、その日の夕食のために一日中狩りに赴き、猪や兎などを狩るのだが。救世主ということもあって魔王とタイマンをしても勝てるアンリ、非常に食いでのある飛竜などの大型生物も普通に狩ってくる。


 ミシュリーヌを助ける直前に、実はそういった巨大生物を狩っており、アンリはそれをここ三日間の食料にあてていたのだ。


 また、成人した男とは思えないほどアンリは少食であり、それもあって彼が狩りに行く頻度は驚くほど低い。とはいえ食材の日持ちの関係で、ものによってまちまちだがこうして狩りに行くのである。


 ――が、それはミシュリーヌにはわからないことである。


(……ど、どうし、よう……)


 途方に暮れた彼女は、アンリの小屋の前で立ち尽くす。


 時刻はお昼前。アンリと二人で昼食を、というつもりだったミシュリーヌ、さすがにこんな事態は予想していなかった。


(……ちょっとだけ、待っていよう)


 そのため、そんな結論に至るのは仕方のない話でもあった。


 ――ミシュリーヌは小屋の扉の横。壁に背中を預け、スカートが汚れることに眉をひそめながらだが腰を下ろす。


 膝の上にリゼットらからもらった賄いご飯を乗せ、ミシュリーヌはキョロキョロと辺りを見回し始めた。


「…………」


 ――静かだ。


 森の中、当たり前だが人がおらず、それに伴った音もない。風によって時折木の葉が擦れる音が響いたりはするものの、どうしてだか生き物の音がしなかった。


 人間がいないのはそうだろう、とミシュリーヌは思ったが、森にいるであろう小動物の音さえしないのはなんなのか。ミシュリーヌは首を傾げる。


 しかしそんなことよりも、ミシュリーヌには気がかりなことがあった。


(……こういうとこ、好きなのかな……)


 アンリが、こんな寂れた場所を住処に選ぶ理由――それが気になった。


(寂しくないのかな……)


 人の生活音がせず、一人だけで暮らしていく住処は、ミシュリーヌには想像もできない。「おはよう」と言っても誰も答えず、帰る家に灯りがつくことはなく、自分一人のためだけにご飯を作る生活など、生まれた時から家族に囲まれていたミシュリーヌには、とても。


 まして、アンリの小屋の周りには小動物の音もない。自分以外の誰もなにもないところ……そんなものは寂しすぎる、とミシュリーヌは目を伏せた。


「……っ」


 ミシュリーヌは首を振る。アンリの生活が寂しいのは見てとった通りで、今更確認することでもないと。


 そうではなく、ミシュリーヌはそれを見て決意を決めたのだ。


(私が、頑張るんだもん)


 ――人の温もりを知らない彼の、初めての温もりになるのだと。


 そのための第一歩――否。まずスタートラインに立つために、ここへ通いつめているのだと。


(……それより、街の近くにいるっていう救世主さん、って……あの人のこと、だよね?)


 ミシュリーヌが膝の上の賄いご飯を見下ろしながら、ふと思い出したことについて考えを巡らせていると。


 その時、足音が鳴った。


「――?」


 小屋の壁に背を預けるミシュリーヌから見て左側、森の奥側の道から、ちょうど人が歩くような足音が。


「……あ」


 足音とともに現れた人影。それは、肩に獲物を担いだアンリだった。


 獲物は小ぶりな兎。子兎と言うには些か大きめのサイズの、森の中に住む野兎である。


「――――」


 アンリが自身の住処に戻り、そしてその前にて座り込むミシュリーヌを見て――彼が示した反応は非常にわかりやすかった。


 これでもかと顔を顰め、警戒心を最高レベルに引き上げて外敵を睨み、口を開くこともなく「帰れ」と雄弁に物語る。ミシュリーヌが散々向けられ、また見慣れた、アンリのいつものヤツである。


「……なにしてる」


 疑問符のつかない疑問形。すなわち、声が平坦になるほどの不機嫌を宿した声。


 いっそ刃のようとさえ言える攻撃的な声色で、アンリはミシュリーヌに尋ねた。


「あ……こ、こんにちは。え、っとね? 今日はご飯、持ってきてて……」


 しかしミシュリーヌは慣れたもの。アンリの鉄壁対応が相変わらずすぎてそれはそれで悲しく思ったが、彼女はめげずに此度の用件を告げる。


 膝の上のそれを持ち上げ、アンリに示しながらミシュリーヌは立ち上がった。アンリは小屋の入口へ近づきつつ、警戒を大前提としながらミシュリーヌの持ってきたものを睨んで――


「――――」


 アンリは、ピタリとその動きを止めた。


「……?」


 ミシュリーヌが不思議に思う。アンリの視線は、彼女の持っているもの――フェルマーさん家の賄いご飯に釘付けだった。


 ――アンリは、非常に少食である。仮にも成人した男とは思えないほどの量で普段の食事を済ませ、そんな食生活でよくもまあそんな身長に育ったなと言われるほど。


 これは彼の救世主としての力、世界を呪い憎悪する力が、アンリ本人に負荷をかけて人間としての機能を削っているせいだったりするが……問題は、食べようと思えば常人よりも食べられる点だろう。


 アンリは非常に少食。しかしそれは「たくさん食べられない」ではなく、あくまで「必要最低限の量が少ない」であり、それさえ無視すれば普通の成人男性より多くのものを食べられる。


 つまるところ、アンリは娯楽目的であれば割とよく食べる。具体的に言えば――たまに、本当にたまに街へ繰り出した時、フェルマー食堂へ立ち寄った際、など。


「……。……それは?」


 アンリが、ともすれば聞き逃しそうなほど小さな声で、大層な間を空けてミシュリーヌへ問うた。


 わかりやすい態度の軟化である。


「――!」


 ミシュリーヌの顔が輝いた。


 ……そんな彼女の変化を気にしなくなるほど、アンリの関心はフェルマーさん家の賄いご飯に注がれていた。


「と、友達の家が、ご飯屋さんなの! 森に行くって言ったら、お昼ご飯にって持たせてくれてっ!」

「…………」

「ふぇ、フェルマー食堂って言って、たぶん君も知ってるところなんだけどっ!」

「…………」


 ――賄いとは、余りものを用いた従業員用の食事。


 食事処のものなのだから完成度は高いはず……それはただの幻想で、普段散々料理をし続けている料理人が、「身内で食べるのだから」と手抜きをしまくったものが賄いと呼ばれるものだ。


 言うなれば、現代日本のご家庭などで用いられる「お弁当のおかず? 昨日の残り物だよ?」レベルのお話。


 売り物にしようと真面目に取り組んだものと比べると当たり前のようにクオリティは低く、それ故に客の目に触れることはない――


 ――しかし、そのレアリティは確か。


 そして、いくら手抜きをしてクオリティが低かろうと、料理店の料理であれば美味しいものだ。それは充分満足できる代物であり、そこにレアリティも含めてしまえば、それは売り物にしている料理よりも遥かに魅力的なものへと変わる。


「…………」

「き、君の分もあるよ! い、一緒に食べるっ?」

「…………」


 アンリは重苦しい沈黙を以て、非常に思い悩んでいた。


 彼の頭を悩ませる問題。曰く――ミシュリーヌとの昼食を嫌うか、自身の気に入っている食事処の賄いという激レア料理をとるか。


「…………」

「ど、どう?」

「…………」

「え、えっと……」


 押し黙るアンリに、ミシュリーヌの勢いがだんだん消えていく。彼女はテンションの上がるまま売り込み文句を全て吐き出してしまい、それ以上告げられる言葉がないのである。


 ――やがて、アンリは結論を下した。


「…………」

「……えっ?」


 アンリがミシュリーヌの横を通り過ぎる。鍵を開けて小屋の扉から中に入り、ミシュリーヌのことはガン無視だった。


「……え、ぁ……」


 これが彼の答えなのか……、と、ミシュリーヌの心にヒビが入った、その時だ。


「……おい」


 小屋の中に入ったはずのアンリが、顔を覗かせた。


 依然不機嫌そうな顔ではあるが、しかしアンリは扉を閉めることをしていない。今まではミシュリーヌを閉め出すために、情け容赦なくそれを閉じていたというのに。


 ――つまり、そういうことだった。


「なにしてる。早く入れ」

「……え?」

「食うんだろ、それ。いらないならそれだけ置いて帰れ」

「えっ、や――た、食べるっ! 食べるよ!」


 アンリの数少ない好きなもの、美味しいご飯。


 アンリの中で、その魅力がミシュリーヌという厄介事を上回った、その結果であった。


 ◇


「お、お邪魔します……」


 アンリがスタスタと小屋の中に入っていく。扉が開けっ放し、ということから彼の内心を察するミシュリーヌは、おずおずとだが小屋の中へ入った。


 どうやら小屋に立ち入ることは許してもらえたらしい――そのことは大きな進歩だと、ミシュリーヌは密かにガッツポーズをする。


「そこのテーブルに置け。中身はなんだ?」


 アンリは担いでいた獲物を、調理台と思しきところで捌き始めながらミシュリーヌへ指示を出した。


 そんな風に、ミシュリーヌへと会話を要求する……そのような真似をアンリがするというのは、実はすごいことである。


「あ、その、パンと、簡単な炒めもの、かな……」

「…………」


 ミシュリーヌが答えるも、アンリから了解の声はない。会話を求めてもキャッチボールはしない彼の態度は、とても潔いものだった。


 ミシュリーヌはめげずに会話を続けた。


「き、君って、たくさん食べるんだよね? 一応、全部で三人分くらい、包んでもらったの」

「…………」


 ちなみに、ここでアンリは、自身のことがロザリーやリゼットの印象に残っているであろうこと、彼女らからミシュリーヌが自身の情報を仕入れたことを悟った。


「……あ、あの、聞いてる?」

「聞いてる」


 ミシュリーヌが喋るも、アンリはあまりに無反応。ミシュリーヌが不安になって尋ねると、アンリは即答で答えた。


 ここまでの間、アンリはミシュリーヌに背中を向けたままで一瞥すらしていない。


(き、聞いてるんだ……相槌くらいうってほしい……)


 ミシュリーヌは頬を引き攣らせたが、アンリだから仕方ないかとも思って納得した。惚れた弱みである。


「…………」


 会話がそれきり途切れ、ミシュリーヌは手持ち無沙汰になってテーブル横の椅子に座った。


 小屋の中は、調理用の台やかまど、水瓶、ミシュリーヌも寝かされたことのある寝台が一つに、テーブル一つと椅子が二つある。


 寝台の枕元に、以前ミシュリーヌがお礼にと渡した彼女の手作りのぬいぐるみが置かれていた。成人男性の寝台には些か相応しくないようにも思えるが、ミシュリーヌは気にしないことにする。


 ――彼が一人で生活していく上で必要なものが揃っているようだ。自分があげたものを大事にしてくれているのは嬉しい。でも椅子が二脚なのはなぜなんだろう?


 とりとめのない思考の中、ミシュリーヌが疑問を抱いたところで、ちょうど兎の調理が一段落したアンリがもう一つの椅子に座った。


「あ、ご、ご飯だよね」

「…………」


 ミシュリーヌが慌てて賄いご飯を広げ始め、アンリはそれを黙って待った。ミシュリーヌは自分の前に一人分、アンリの前に二人分を並べる。


 ――食器の数や料理の量の偏りから〝準備の良さ〟を見てとって、密かにアンリの警戒レベルが上がるが……今は食べものの方が優先らしく、アンリの顔にそれが現れることはなかった。


「――――」


 食前の祈り。食材と作ってくれた人、あといると言われている神様に感謝を捧げ、ミシュリーヌは食事を開始した。


「…………」


 アンリの方は、そういった信仰心を持ち合わせないのか。ミシュリーヌのように祈ることこそなかったものの、彼女の祈りが終わるのを素直に待って二人同時に食べ始めるという、地味な気遣いを見せていた。


(……いい人だ……)


 その気遣いは当然彼女にもわかったが、それに触れないだけの分別はあったミシュリーヌである。


 ちなみに、懐き度が不充分な現状でミシュリーヌが「待っててくれたんだ? ありがとう!」なんて言おうものなら、からかわれたと判断したアンリが機嫌を地の底に落とし、彼女の分の賄いを持たせてミシュリーヌを小屋から放り出していたところである。ミシュリーヌの分別は英断だった。


「…………」

「…………」


 食事の最中、会話はない。アンリの態度を考えれば無理もないことだったが、これではいけないとミシュリーヌは奮起する。


 ――そも、小屋に入れてもらえて、なおかつ自分に対しての攻撃的な態度を、この彼が一時とはいえ解いているのだ。利用しない手はない。


 ミシュリーヌは強かだった。


「――き、君の、好きな食べものってなぁに?」

「…………」


 アンリの返答は無言だった。


「わ、私は甘いものかなぁ。蜂蜜を使ったお菓子があって、それが美味しくて……」

「…………」


 アンリは無言だった。


「……や、やっぱり、お魚とか……?」

「…………」


 アンリは無言だった。


 アンリの好感度が低すぎる今、ミシュリーヌから投げた会話――それもする必要のない雑談に、彼が応じるわけがなかったのである。


「…………」

「…………」


 しょんぼりと肩を落とし、ミシュリーヌが見るからに意気消沈した様子で食事を再開した。


 さすがのアンリもちょっとだけ、本当に少しだけ、心が痛んだ。だから、本当に心底煩わしく思いながらも、ボソリと返答をする。


「………そうだな。魚が好きだ」

「え……」


 一拍遅れて、ミシュリーヌの顔が輝いた。


「――あ、そ、そうなんだ! やっぱり! 美味しいよね、お魚!」


 答えてもらえないと思ったアンリとの会話。これが彼のいつも通りの対応なのだと、無理やりミシュリーヌが納得していたところにこれである。彼女が喜ぶのは無理もないと言えた。


「わ、私もお魚、好きなの! でも、新鮮なの食べようと思ったら、この街じゃダメだし――!」

「…………」


 ミシュリーヌのテンションが上がる。……アンリが、鬱陶しいとも思うほど


 会話に応じてやったらこいつがウザくなる――アンリは、ミシュリーヌとの会話はもう少し慎重にしようと決心した。


 ◇


 ――「食い終わったなら帰れ」と。


 アンリの態度はいつも通りに冷たいものだったが、ミシュリーヌはそれでも満足だった。


 なにせ、今まででは考えられなかったほどアンリの態度が軟化しているのである。しかも今回は、「もう来るな」に類する言葉をミシュリーヌへ言わなかったばかりか、あのアンリが「……美味しかった。ありがとう」と礼まで言ったのだ。


「〜〜♪」


 故に、ミシュリーヌはすこぶる上機嫌だった。鼻歌にスキップ、花が咲くような笑顔と、見るからに機嫌が上向きなのが伺える。


 ――ミシュリーヌが街へ帰ると、時刻はお昼すぎ。ちょうどお昼と夕飯の中間であり、フェルマー食堂も営業時間外だ。


「ロザリー!」

「ミシュリーヌちゃ――わっ?」


 ミシュリーヌは気軽にフェルマー食堂に立ち入り、掃除を行っていたロザリーへ抱きついた。抱きつかれたロザリーの体勢が崩れるものの、そんなことは気にせず彼女へ頬擦りまでするミシュリーヌ。


「――お、上手くいったのかい?」

「はい! ありがとうございます!」


 それを見て、近くにいたリゼットは事情を察した。ミシュリーヌの態度から、例の人との関係にかつてないほどの進展があったと見てとって、微笑ましそうに笑うリゼットとロザリー。


「あの人、ここのご飯がすごい好きらしくって! 見せたら、一緒に食べるのも許してもらえました! ほんとうにありがとうございます!」


 リゼットとロザリーは、今まではたかが食事を共にするのさえ許してもらえていなかったのか、と思って笑顔を凍りつかせるが、上機嫌モードのミシュリーヌは気づかない。


「あの人お魚が好物らしくて、それで――!」


 ロザリーに抱きついたまま、ミシュリーヌは更にアンリとの話を話そうとして――そこで固まった。


 ロザリーは既視感を覚えた。そう、ミシュリーヌはロザリーへ初めて相談した時のように、アンリについてそれ以上語る言葉を持たなかったのである。


「……えっと、それで……それだけしか、話してもらえてない……」


 ミシュリーヌが今回、リゼットたちに協力してもらった結果アンリと交わせた言葉は、「君の好きな食べものってなぁに? お魚とか?」「……そうだな」だけである。


 それ以降は、アンリから多少なり言葉を返してもらえたことでテンションの上がったミシュリーヌが喋り倒し、アンリがなにかを語ることはなかったのだ。


 当たり前のように名前の交換さえ行っておらず、簡潔に言い表してしまうなら――ミシュリーヌがご飯を持って行って、共に昼食をとっただけ。


 そんなことでさえ紛うことなき〝進展〟なのだから、アンリの鉄壁具合の酷さが伺えるというもの。上機嫌だったのが思いっきり叩き落とされ、ミシュリーヌは打ちひしがれた。


「……あ、あ〜、明日! 明日、また行ってみよ? また行く前に来てくれたら、お昼ご飯用意するから……」


 ロザリーは全てを察し、ミシュリーヌを慰めようとしてアタフタと言い募る。リゼットも同意見らしくウンウンと頷くが、ミシュリーヌが受けた衝撃についてはどうにもならない。


 恨むべきは、こんな可愛い子相手にそんな邪険な対応しかしない野郎だ――リゼットはそう思ったものの、彼女にもどうにもできない話であった。

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