プロローグ:誓ったあの日…
前に連載していた“無の虚空”大変恐れながら廃棄しました。まぁ自分の文章力とまとめがいの無さに失望したためですが……。そして今回新たに始めたいと思い投稿させて頂きました。まだまだ未熟な者ですが頑張っていきたいと願っております。
―――…雪の日に…――――
…僕はただ……真っ暗な空を見上げていた………
「…なぜ…」
……戸惑いを口にし、
「…どうして…」
……困惑を声にし、
「父さんっ!!…母さんっ!!…」
目の前から立ち去って行った人達の言葉がリフレインする…
「シン…お前らは此処から去れ。…今すぐ俺達の前からいなくるんだ。
お前は困惑するだろう……、俺が言えるとするならば、お前は“悪魔の仔”なんだ…。」
「だから私達に…いえ違うわね…だからこの国にあなた達がいることによって、厄災が起きてしまう…」
最初、何を言われてるのか理解できなかった…
――――だから去れ!!!お前はいてはならないのだ!!!!――――
いや、ただ理解したくなかったのか…
……ただ…この5年間は楽しかったぞ……さらばだ。……そうね………私達の仔として生まれてくれてありがと…さよなら。
そう言って、両親が去っていったのは何時間前のことか……。
「…ぉに…ぃ…、ちゃん?」
そのたどたどしい声で、僕は意識を現実に取り戻した。
「…どうしたんだい?」
僕は尋ねる。
「…おにいちゃん」
その仔は無邪気な笑顔を浮かべてまた同じことを言った。
…そうなのだ。この仔がまだちゃんと喋れる訳がない。なんてったってまだ2歳なのだ。
――――大丈夫―
僕は強く想い、腕の中にいる仔をしっかり抱き締める…。
「…大丈夫。僕がキミを護るから…。」
「僕が……キミを生かすから。」
…僕は昔から“心気”がおかしかった。それは異常だった。家庭に生まれた異分子……それは排除されるはずだ。……“悪魔の仔”と言われるはずだ。…だけど…
…キミは違う
キミのその笑顔は……
キミの“天使”のような笑顔だけは…必ず…
―――――護るから!!…―――――
――――――――――――――――
…意識が覚醒していく。まるで夢のように
………夢??
あぁそうか…夢を見ていたのか…
「はぁ…久しぶりだ。こんな昔の夢を見るだなんて。」
一回息を吐き、そう呟くと同時に青年はベッドから体を起こした。時計を見ると短い針はちょうど6の数字を差したとこだった。
「…あの日からもう12年もたったんだ…。」
――………
あの日の事は忘れられるはずもない。
悪魔の仔と言われた日。僕らが捨てられた日。
誓いをたてた日。
そして…この家に連れて来られた日…。
この家の主にはとても感謝している。言葉では表せないほどに……。
そして僕はまだ誓いを守れてるだろうか……キミの…
……―――
{…コンコンッ}
控え目なノックの音がして青年は意識を戻す。時計を見ると、起きてからすでに1時間たっていた。
『こんな音じゃ寝てたら気づかないよ…。』
そう思いながらドアを開ける。
そこに立っていたのは、“あの仔”が成長した姿だった。
「おはよう…シーニャ。」
柔らかい笑顔を向けて言う。
「おはよう“お兄ちゃん”。」“その仔”はそう言ってあの笑顔を見せてくれた…。
――――……
あぁ…良かった。
僕はまだ守れてるようだ。
キミを…キミの笑顔を…。…僕のたった1人の兄妹を…。
――――願わくば…この先もずっと…――――
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