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過去>>>未来《20》

食後の皿が下げられると同時に、大天使様は口を開いた。


「さて…本題に入らせてもらっても良いかね?」


真っ直ぐ俺に視線を向けてきた。


他の天使たちもゆっくりと俺を見据える。


「どうぞどうぞ。」


俺は警戒心を感じさせないように軽い口調で答えた。


「君のことについてなんだが…」


…やはり、全員を呼び集めての食事はこっちが狙いか。


この場にいる全員での情報共有。


俺にとっても、マリアが聖剣に囚われるのを阻止するというだけの話ではなくなってきてしまったから、都合がいいと言えば都合がいい。


なぜなら、俺がマリアを確保したとしても、ネックレス…つまり容れ物そのものを破壊しなければマリアにとっての自由はないのだから。


てっきり俺は大天使様達が無理矢理マリアを聖剣にしたものだと思い込んでいた。


しかし、ここに来てから分かったのは…俺の時代と過去における天界の天使達の記憶の食い違い。


こんな事ができるのは、あの女しか思い浮かばない。


つまり、マリアが聖剣にされた原因はあの女が絡んでいる可能性が高いということだ。


それに、不安要素もある。


…俺がもし何度も過去に戻ってるとしたら、その回数だけ俺がいることになる。


10回だとしたら、10人の俺がいる…。


今は何回目だ…?


最低でも2回と俺は予想したのだが、もしかしたら前回で初めてかもしれない。


いや、今考えても仕方ない。


マリアを追い求めるならそのうち出会うだろう。


俺は思考にゆっくりと蓋を閉じた。


何はともあれ、ここで情報共有をした方が俺にとってのリターンが多いと考えた方が得策だろう。


「俺のこと…ですか?」


さすがに捕縛はないと願いたい…。


「君を神聖隊の一員として招待したいのだ。」


大天使様はありえない事を口にした。


天使でもない俺が…?


「自分でも自分のことあまりよくわかってないような奴ですよ…?」


「君が神聖力と魔力を宿しているのは知っている。だが、それになんの問題がある?私は自分の目で見て信頼出来ると判断した者しかスカウトしておらんよ。」


とは言っても、周りは全員天使だ。


俺だけ場違い感が尋常じゃない。


それに、なんでそこまで良待遇(りょうたいぐう)なんだ…?


いや、俺にとって神聖隊に入るのが良いことか悪いことかの判断はまだ出来ないのだが…。


少なくとも、今日来たばかりの俺が入っていい隊でないことは確かだ。


「…あまりにも予想外だったので、考えさせてください。てっきり俺は未来のこと質問されるのかと思いましたよ。」


ここは先延ばしにするのがベストだろう。


今急いで結論を出すことでもない。


「そうか。良い返事を期待しておるぞ。実は、未来のことについてなのだが…君の口から説明するのも面倒だろうと思って『能力(ブレッシング)』で記憶を覗いた方が早いと思ったのだ。」


…つまり?


「…今から覗かせろと?」


あまりにも嫌過ぎる提案に俺は表情を引き()らせるしかなかった。


「もちろん、嫌がるとは思ったので君が私達に見せてもいいと判断した記憶だけを見せて欲しいのだ。」


………交渉のように見えて拒否権はない…か。


「いいですよ。それで、俺はどうしたらいいんですか?」


俺が大天使様に(たず)ねると、大天使様は大柄な男に目配せをした。


大柄な男は俺の背後に近付くと小さな声で声をかけてきた。


「………目を閉じて重要なことだけ思い浮かべてください…」


喋れたのか…!


声小さいな…。


俺は言われた通りに魔王や聖剣など、必要最低限のことだけを考えた。


「思い浮かべました。」


俺が言葉を発すると同時に背後で声が聞こえた。


「『観測者(スペクティーター)』」


大柄な男は俺の頭を軽く掴むとしばらくそのままでいた。


余計な事は考えるな…


無心…


無心…


「……終わりました」


案外早かったな…。


振り返ると男の右手が光っていた。


「…これは?」


「左手で情報を読み取り、右手で情報を記すことができるのだ。」


大天使様が大柄な男の代わりに答えてくれた。


「メイ、紙をバリウスのところに持って行ってやってくれ」


大柄な男はバリウスっていうのか。


バリウスさんと呼ばせてもらおうかな。


メイさんがバリウスさんのところに紙を持っていくと、その紙に勢いよくバリウスさんは右手を押し付けた。


すると、紙にたくさんの文字が浮かび上がってきた。


所々文字が黒く塗り潰されているのが気になるが、遠目から見ても内容的には大丈夫そうだ。


「では、私達で読ませてもらうぞ」


大天使様は時計回りに紙を回していった。


全員が疑い深くそれを読んでいたのだが、 バリウスさんの『祝福(ブレッシング)』ということもあって信じてもらえた。


しかし、読み終わった後全員が口を揃えてこう言うのだった。


「「ロリコンなの????」」


俺に無心なんて不可能だと改めて悟った。

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