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過去>>>未来《15》

俺は客間から出るとずっと感じていた気配に声をかけた。


「………いつまで覗いてるんですか?」


「バレちゃってたかー」


天龍先輩が例の如く何も無い空間から笑みを浮かべながら出てきた。


「…俺にはバレたそうにしてたとしか思えませんが…。それよりも、なんで怪我が治ってるんですか…?」


天龍先輩の怪我が綺麗さっぱり無くなっていた。


まるで俺と闘った事自体がなかったかのような状態だった。


「君こそ、足は治して貰ったのに指は治ってないみたいだね。」


……あっ…


完全に感覚が無く痛覚が麻痺していたので忘れていた。


むしろ親指の先がほぼない状態だった。


「さてさて、僕が治してあげよう」


…えっ?


天龍先輩が潰しておいて何を言ってるんだ…


だが、今は厚意に甘えよう。


俺はほとんど無い親指を差し出した。


「『神の抜け道(ディバインアクト)』」


俺の指がまるで何事も無かったかのように綺麗に元通りとなった。


…空間を弄るだけの『祝福(ブレッシング)』じゃなかったのか……


「…ありがとうございます」


「いいよいいよ。じゃあ、御礼としてまた今度殺り合おうね。」


殺り合うのは二度と御免だ。


勝てる気がしない…。


…待てよ?


この全てを無かったことに出来るような『祝福(ブレッシング)』なら、マリアを助けれるかもしれない。


俺はダメ元で提案してみた。


「…あの……このネックレスに囚われている女の子の魂を、その『祝福(ブレッシング)』で治すことって出来ますか…?」


「…うーん。。。僕が干渉できるのは、あくまで目の前に存在する空間と異次元空間だけだから…存在していないものに対しては無理かな。ごめんよ」


…つまり、存在していたら可能ということか。


魂を具現化できる『祝福(ブレッシング)』の使い手を探すしかないな。


そういえば、前は天龍先輩は異次元に干渉できる『祝福(ブレッシング)』って言ってたような…


嘘をついていたのか…?


いや、ある意味嘘ではないか。


本当のことしか言っていない。


全容を明かさなかっただけの話だ。


よし、とりあえず今は魔女の里に戻ってリリーさんに御礼を言おう。


「怪我治してもらってありがとうございました。俺、少し魔女の里に行ってきます」


「…行くってどうやって?」


「え?…だってあの抜け道が……あっ…」


俺はあの暗い道の感覚を思い出していた。


あの道は天龍先輩の『祝福(ブレッシング)』で出来ていた道だ。


どこかで感じた感覚だと思ったら、すっかり忘れていた。


もしあの道がまだ残っているなら別だが、きっと消しにでも行ったのだろう。


だからこそ、今困っている俺の目の前でこんな表情が出来るのだ…


愉悦で快感を感じるのを押し殺すようなこの笑顔。


それもそうだ。


生徒会長は俺に戻らない方がいいと言った。


普通に行くとなると尋常じゃないくらいの時間がかかってしまう…。


夕食時に俺がいない時点で怪しまれてしまうだろう。


そうなると信用の問題にも関わる。


友達になるなんて論外だ。


つまり、俺はサクッと行って帰ってこなければならない。


だから、俺は天龍先輩に頼るしか道がないのだ。


「………魔女の里まで連れて行ってください…お願いします」


俺は天龍先輩に頭を下げた。


「また今度闘ってくれるならいいよ?」


…この人は…どれだけ闘いが好きなんだ…


「………」


「そんなに嫌そうな顔しなくても、模擬戦形式でいいからさ。」


あまりにも嫌過ぎて思わず顔に出ていたのか…。


「ユライアさんに相手してもらったらいいんじゃないですか…?」


俺にしつこく付きまとうよりそっちの方が手っ取り早い気がした。


「僕も部隊の中じゃ飛び抜けて強いほうだけど、彼女に戦いを挑むのは無謀だと思ってるよ…」


……あの天龍先輩よりはるかに強い…?


「もしかしたら魔王を倒すのはユライアさんだけで充分なんじゃないですか…?」


「まあ、相性の問題だね。彼女の『祝福(ブレッシング)』…『女王の世界(オールマイン)』はユライアよりも身体能力等の基礎スペックが低い相手なら有効だけどね。魔王は純粋に強いのさ。だから相性的にはあまりよくないと思うよ…」


…そういえば、前にも生徒会長が似たような事言ってたな……


いや、今はそんなことより早く魔女の里に向かわないと。


「…出来れば急ぎたいので早急に魔女の村へとお願い出来ますか?」


「おっと、そうだったね。ごめんごめん」


天龍先輩はわざとらしく肩をすくめる素振りを見せると、前と同じように何も無いところを3回軽くノックする仕草をした。


目の前にうっすらと見える扉のようなものが現れた。


「…戦闘中はノックしてませんでしたよね…?」


「僕1人が入るならノックなしでも問題ないけど、2人だとノックが必要なんだよね。ちなみに3人以上はまだ試したことないよ。」


ん…?


3人以上は試したことがない…?


ならなんであの女は精霊の祭壇にいたんだ…?


いや、むしろ……


あの女が当たり前のように立ち塞がったから、てっきり手を組んでいるものだと思い込んでいた。


……嫌な予感がする。


魔女の里に早く向かった方が良さそうだ。


「…嫌な予感がします。急ぎましょう。」


「…?急にどうしたんだい?…まあ、そういうのが御所望なら急いで連れて行くけどさ。」


俺と天龍先輩は魔女の里へと向かった。

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