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過去>>>未来《13》

「さてと…まず、貴方の話を聞かせて欲しいのだけれど」


生徒会長は俺の顔を見つめながら話を切り出してきた。


真偽を確かめる為だろう…


むしろ怪しいのは俺の方なのだから…


ここは慎重に言葉を選ばないといけないな。


「俺は、聖剣と魔剣が造られるのを阻止しに来ました……。もし聖剣と魔剣が作られたら、永遠に魂が聖剣という牢獄に囚われる少女がいるからです。そうなったら、閻魔様でも転生させることはできません。そのために……2000年後の未来からやってきました。」


未来から来たなんて突拍子もない事を言われても信じてもらえないだろう。


だが、今はこれしかない。


下手に嘘でもついてバレたりしたら大変だ。


「それは、私の妹のスノーホワイトの事かしら?そう。あの子、転生出来なくなるのね。それで、その聖剣でどれだけの命が救われたのかしら?」


マリアはこの時はスノーホワイトっていうのか。


それにしてもなんだ…?


この生徒会長の落ち着きっぷりは…。


全く動じていない。


俺の知っている生徒会長ならマリアのこととなると慌てふためくようなイメージがあった。


なのに、なんでそこまで冷たい目をすることが出来るんだ…


俺は違和感を覚えつつも生徒会長の質問に答えることにした。


「…魔剣を封印して魔神復活を止めることが出来、魔王が聖剣によって葬られ、下界も天界も魔界も守ることが出来ました。」


「そう。ならあの子は聖剣になるべきね。」


「…なっ…!?」


「あら?何を驚いているのかしら?あの子ひとりの命と他の命を天秤にかけろとでもいうの?」


……そうだ。


結局俺のわがままだ…


俺がわがままを言わずに過去に戻らなければ、あのままの平和な世界がそこにはあったのだ。


俺のやってることは自己中心的な考えでの行動に過ぎない。


傲慢にも程がある。


だけど俺は、その傲慢さを貫く覚悟でここに来た…!


「それなら、俺が世界を救います!」


「貴方、自分の言ってることが分かってるのかしら?魔神と魔王を葬り去るということなのよ?」


そうだ。


この前みたいな弱い魔王ではない。


本物の魔王だ。


今度は誰も助けてくれない…。


誰も……。


あの時のことを思い出すと情けなくなってくる。


だからこそ、今度こそやり遂げるんだ。


俺の手で。


「今すぐにでもやってみせます…っ!」


「……そう。なら、明日から私と特訓をしましょう。貴方はありえないことに、膨大な神聖力と魔力を持っている。でも使い方がダメだわ。さっき向き合った時直感でわかったもの。それに、貴方のその力、興味深いわ。」


そう言うと生徒会長は俺の胸元にあるネックレスを指差した。


生徒会長と特訓か…懐かしいな。


それにしても意外だな。


てっきり断られるのかと思った。


「よろしくお願いします!」


俺は立ち上がって礼をした。


そこでふと疑問が湧いた。


ん…?


待てよ…?


こうなってくると先代勇者そのものの役目がなくなると思うのだが…?


俺は恐る恐る生徒会長に尋ねてみた。


「あ、あの…。『神聖天舞会』で優勝したのって…誰なんですか…?」


「………それは何かしら?お茶会の名前にしては仰々しい名前ね。私はそんな会知らないわよ。」


…え?


「下界で1年に1度行われる大会です。こっちだと100年に1度になりますけど…」


「…貴方、さっきも言っていたけど下界っていうのは何かしら?」


…どういう事だ……?


「下界っていうのは、人間という種族が住む場所です。」


本当に知らないとしたらこれしか伝えようがない。


これで伝わらなかったらお手上げだ。


「……そういえば、神様が作ったオモチャにそんなのがいたわね。私達天使にそっくりに作ったとか…。とにかく、下界なんていうのは知らないわよ。」


……今なんて言ったんだ…?


…オモチャ……?


じゃあ、今までの俺達の暮らしは何だったんだ…?


いや、それよりも…。。。


俺達の時代では全くそんな素振りを見せていたかった…!


どういう事だ…


またチグハグな気分になる…


どこもかしことも違和感だらけに思える。


だが…


まるで初めから何事も無かったかのように思考が行き詰まる。


前にもこんなことがあった。


…俺はあの女の顔が頭に浮かんだ。


あの薄気味悪い微笑みを持った女だ。


もし先代勇者がいないと仮定したなら、あの魔神を封印していた男の正体は誰だ…?


『神の恩恵』というものがそもそも無かったことになる。


つまり、未来の俺の不老不死の理由は別にあるということだ。


そして、未来の俺はこの事実に辿り着いていない。


いや、辿り着いていたとしても…書き換えられたか…


クソッ…!


なんであの時に仕留めておかなかった…!


いや、もし現時点で大天使様たちと繋がりがあるなら首を狙えるチャンスなどいくらでもある。


焦る必要は無いか…。


そして重要なのは、魔神を封印していたのが先代勇者じゃないと仮定すると不老不死なのは…


未来の俺と、俺だ。


つまり…今俺がこうやって過去に戻っているのは、2回どころの話ではないという事だ。


既に俺が2人いるのだから…。


何回も繰り返されて未来が変わったのか。


そして、俺自身が過去に行くたびに次の俺に神聖力と魔力を渡すことによってここまで膨大な力になった…。


…全て偽りだったのか。。。


あの女がもし2000年間、俺が知っている下界と天界に関する記憶全てを改変しているとしたら…?


先代勇者を助けたいという理由が嘘で、魔神復活を初めから企んでいたとしたら…?


あそこまで回りくどいやり方をしたのは、2000年前に俺と対峙(たいじ)した時からの警戒心が理由だとしたら…?


…そして、あの女の『祝福(ブレッシング)』の発動条件を知らなくてはならない。


ここまで気付くことが出来たのは、魔王との闘いの後の未来を俺が知ることが出来たからだ。


きっと、前回の俺は何も知らずにあの女の『祝福(ブレッシング)』にかかってしまったのだろう。


だが、今回はそうはいかない。


俺は未来を変える。

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