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過去>>>未来《9》

俺はユリの魔力を辿ってとある部屋の扉の前まで来ていた。


…やっぱりだ……ここは…


見覚えしかないその扉をゆっくりと開けた。


かなりの広さの部屋だ。


部屋の中央には長テーブルが一つに備え付けの椅子が八脚。


そして、部屋の一番奥の椅子には30代前半くらいの男が深々と腰掛けていた。


そういえば今は昼過ぎだったか…


見知った顔の女性がその男に食事を運んでいた。


明らかに不法侵入なのは俺の方なのだが…


俺が部屋に入るや否や、その男は険しい表情を浮かべて俺に聞いて来た。


「……君は、どこから入ってきたのかね…?」


「………ユリを返してください…」


俺は怒りを押し殺すので精一杯だった。


ユリとは1日しか一緒に過ごしていないが、とても心の優しい女の子だ。


そんな女の子がリリーさんを釣るためだけの餌に連れていかれていいわけが……


……リリーさんを釣るためだけ…?


それなら、リリーさん本人を直接叩いた方が早いんじゃないのか…?


あの女の回りくどいやり方は前にも経験している。


祭壇で見た時も違和感は感じなかった…


だけど、ここまで回りくどくするのはあまりにもおかしすぎる…


もしかして…ユリ本人にも何か目的が…?


「…?ユリ…?ユリとは誰のことかね…?」


男がポカンとした口を空けていた。


「…あなたが連れ去った女の子です…!!」


「……人聞きの悪いことを言わないでくれ。そんなこと私は全く知らんのだ。」


「……そうですか、、、あくまでとぼけるというなら力づくで聞き出します」


俺は全身に神聖力を込めた。


「大天使様は何も御存知ありません。私が勝手に攫いました。」


隣に立っていた女の人が口を開いた。


「……魔女の里で俺を尾けてたのも…?」


「私です」


「…なっ…!?…メイ…。君は…何を…?」


大天使様が困惑した表情をこの女に向けていた。


俺は大天使様が連れ去ったと思っていたのだが、アテが外れた。


「ユリを返してもらえませんか?」


俺は明らかな殺意をぶつけた。


「断ると言えばどうされますか?」


問答無用だ。


「聞くまでもないですよ?」


俺は瞬時に女の後ろに回り込んで蹴りを叩き込んだ。


大天使様を巻き込まないために必要最低限の動きで蹴り飛ばして距離を離した。


「……強いですね」


「今の蹴りを避ける方もおかしいですよ」


そうだ…今のは蹴りで吹き飛んだんじゃなくて、後ろに飛び退いて衝撃を最小限に押さえ込んでいた。


「殺気がダダ漏れです」


そういえば、俺も魔王と戦った時は同じ戦法だったな。


これ以上やるとさすがに手加減が難しくなりそうだ。


「…出来れば素直に返して欲しいのですが」


「ここで死ぬなら本望です…」


……ユリに何があるんだ…?


俺は疑問に思いつつも、情けをかけるのをやめることにした。


殺気で気配を探るなら、捉えきれない速度で倒せばいいだけのこと。


さらに、仕留めきれなかった時の保険としてテーブルの上にあったナイフも神聖力を仕込んで強化し、『祝福(ブレッシング)』も使って10本に増やした。


俺は残像すら見えないほどの速度でこの女の周りを円を描くように移動し、全方位から同時にナイフを投げた。


幸いにも女は俺が何をしたかすらもわかっていない。


これなら確実に仕留めれる。


あとはユリをのんびり探すとしよう…


そう思った時だった。


「邪魔されるのは困るなー」


声が聞こえた。


次の瞬間、目の前にいた女が消えた。


「…っ!?」


なんだ今のは…何が起きたのか理解出来なかった…


それに今の声…


「………またこそこそ覗き見ですか?」


「…ん?バレちゃってたんだね。それにしても、またって何かな?初対面のはずなんだけどなー」


目の前の空間に見知った顔が現れた。


「…天龍…真琴……っ!!」


俺は怒りを押し殺すようにしてその名を呼んだ。



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