過去>>>未来《7》
その女はゆっくりと口を開いた。
「…それで、あなたは誰かしら…?…リリーさんに来てもらわないと困るのだけれど」
ユリをさらったのはリリーさんを誘い出すついでということか…
「リリーさんは急用があるとかで来れなくなったよ」
「…そう…なら、あなたに用はないわね」
女が瞬時に間合いを詰めて腰の剣で俺の首元を切り裂こうとした。
血しぶきによって地面が血で染まった。
「………ありえない…っ!?」
女は困惑の表情を浮かべた。
「…あんた、死んでないだけ有難いと思った方がいいよ」
血を流していたのは女の方だった。
俺は首元に剣先が届きかけた瞬間、それを指先でつまんでその女の肩を切り落としだのだ。
手を出して来ないなら見逃そうと思ったが、致し方ない。
女は腕を抑え、痛みで立ち上げれないでいた。
「……あなた…その力は一体…っ…」
そう言うと、気を失って倒れ込んだ。
「ただの魔力だよ」
そうだ。
ただの魔力だ。
神聖力ですらない。
今回に関しては全く聖剣は使っていない。
過去に来てから明らかに魔力と神聖力の質が上がっている…
心当たりならあるが、今はそれよりもユリを早く取り戻さないと。
俺はこの洞窟内に存在する魔力を探した。
どこだ…どこにいる…
全神経を集中させて気配と魔力を探っていく。
そして、俺はある違和感を覚えた。
この広場の奥の壁に何も感じないのだ。
壁があるのに何も感じない…
つまり…
意図的なフェイク…!
俺が魔剣を具現化して壁を斬ると、目の前に通路が現れた。
奥からはユリの魔力を感じたと同時に、祭壇以上の嫌な雰囲気も感じた。
先程リリーさんがユリの魔力を感じれたのはこの奥に行く前だったからか…。
この通路…全く何も見えない…
明かりがないとかではない。
…無を感じてしまうほど果てのない闇なのだ。
この先に…ユリがいる……
俺は覚悟を決めて一歩踏み出した。




