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過去>>>未来《4》

次の日の朝、俺はユリと朝食を済ませた後、リリーさんに連れられて庭にある物置小屋に来ていた。


昨日は物置小屋に全く気づかなかったのだが、家の裏手にあったらしく、かなりの大きさだ。


高さは6メートルくらいだろうか?


小屋の中は大きな4つの棚があり、様々な種類のものが綺麗に並べられていた。


日用品が多いのだが、きっとこれは普通の日用品ではない気がする。


なぜなら、この棚に昨日の晩御飯の時に使われた鍋にそっくりな形の鍋が置いてあったからだ。


あの鍋は宙に浮いていた…


この鍋も不可思議な現象を起こすのだろうか…?


俺が棚の物について思考を巡らせていると、リリーさんは棚から取ってきた一つの箱を俺に渡した。


「…これは…?」


普通の木箱のようだったが、嫌な雰囲気がした。


神聖力も魔力も感じないのに…


「…開けてみな」


俺はその木箱を恐る恐る開けた。


中には…


俺の持っているネックレスと同じ形のネックレスが4本入っていた。


「……っ!?…俺と同じ…?」


「私が同じなんじゃなくて、あんたが同じなのさ。……その首飾りを作ったのは私だからねぇ」


…いや、確かにそっくりだったがよく見ると一つだけ違うところがあった。


「俺の方のネックレスとは違って、リリーさんの方には模様がないですね」


俺の方に刻まれている雪の結晶の模様が、リリーさんの方にはなかったのだ。


「そりゃあそうだろうね。まだ何も取り込んじゃいないからねぇ」


「…取り込む…?」


「…あんた、そんな事も知らずに使ってるのかい?」


そうだ…俺は何も知らない…


マリアのことも聖剣のことも魔剣のことも天界のことも魔界のことも…


だから俺はもっと知る必要がある…!


「教えてください。このネックレスがなんなのか…」


「この首飾りはね、首飾りが魂そのものを食らうことで、その魂に宿った“能力”…『祝福(ブレッシング)』を首飾りに宿すことが出来る“魔法道具”なんだよ。私は剣になるようには作ってないけどねぇ。どっかの誰かが弄ったのかもしれないね。」


俺達が今まで“能力”って呼んでいたのは『祝福』っていうのか…


「……今俺が触れてたら魂食われたりしませんかね…?」


「自分の意思で己の身を委ねない限りは大丈夫さ。まあ、一生これに囚われ続けるなんて私には我慢出来ないがね」


さっきリリーさんの口から出てきた“魔法道具”という言葉も気になるが、魔法が使えるのか?


「“魔法道具”というのは…?」


「魔力で動く便利道具みたいなもんだよ。この首飾りみたいなロクでもない物もたまに混じってるがね。」


「俺のこの首飾り…神聖力でも使えますよ…?」


「…そんなわけないよ…!私が魔力でしか動かないように作ったんだからね…。構造は弄れても動力源を弄るなんて不可能に等しいさ…。それに、“魔法”も“魔法道具”も魔女の里以外では絶対に使えないよ」


つまり、魔女の里から持ち出された…?


「どういう事ですか…?」


「昨日言っていた魔女の里の秘密さ…。この里にいる七大精霊…『火』『水』『雷』『土』『風』『光』『闇』と契約することでしか魔法を使えるようにはならないのさ。その“魔法道具”も魔女の里からの持ち出しは厳禁…。あんたが持ってること自体有り得ないんだよ」


そうか、だから今まで生徒会長も魔力で魔法を使えるとは言っていたけど実際に魔法を使っている魔族は見たことがなかったのか…


「魔女の里の秘密をそんなにペラペラ喋ってもいいんですか…?」


「あんたの情報が少しでも欲しいから私も話したのさ。それに、あんたはもうこの村から出れはしないよ。」


「…え?」


この村から出れない…?


マリアが聖剣にされるのを俺は止めないといけないのに…!


「迷いの森は魔女の里の最長老様の自由に動くようになっている。あんたが自力で抜け出すのは無理ってことさ」


「……俺は本当にこのネックレスがなぜ魔女の里の外にあるのか知りません…」


「だろうね。表情を見てたらわかるよ。まあ、どっちみちあんたをこのままにしとくわけにもいかないしね。私についてきな。」


俺はリリーさんに連れて行かれて物置小屋を出た。


「…どこに向かってるんですか…?」


「最長老様のところだよ。」


あぁ…この流れは絶対盗っ人扱いで捕まるやつだ…


俺はリリーさんの後ろを歩きながら嫌な予感を拭い去ることが出来なかった。

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