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過去>>>未来《2》

「これはなに…?」


俺はこの村に入る時に女の子が着ていたフード付きのローブを貰った。


「あなたの顔を隠すためよ」


「顔を?」


「こっちにも事情があるの…それ着てついて来て」


それにしてもこのローブ…どこかで見覚えが…


…いや、今はそれよりもこの子について行こう。


開きかけた記憶に蓋をし、ローブを着てその子について行った。


歩きながら村を観察していたのだが、レンガ造りの建物が多く、住民は女性ばかりだった。


この村…男の人がいないのか…?


だから、顔を隠すように言われたのか…


俺は目の前を黙々と歩くこの子を一瞥した。


歩き始めてから俺とこの子の間に会話はない。


その沈黙を息苦しく感じて声をかけた。


「君の名前は?」


「ユリ」


「じゃあ、ユリってよんでいいかな?」


「…うん」


あれ…?口数が減った…?


それに顔も赤い。


俺は熱だったらいけないと思い、ユリの額に手を置いた。


「熱は…ないね。よかった」


「……っ!?」


ユリが顔を真っ赤にして魚みたいに口をぱくぱくさせていた。


「なにすんのよっ!…ばかっ!」


「…え?顔が赤いからさ、熱かなーって思って…」


「あ、赤くないもん…っ!」


そう言うと、ユリは早足で家の方に向かって行った。


いやいや、今のは明らかに赤かった気がするけど…熱じゃないなら大丈夫かな。


俺も早足でユリの後ろを追いかけた。


5分程歩くとユリの家に着いた。


レンガ造りの綺麗な家だ。


壁は白で統一されていて屋根は赤色。


二階建てで庭付きという造りから、暮らしの良さが伺える。


「お婆ちゃんただいまー」


俺はユリに連れられて家の中に入っていった。


リビングにはお婆さんとは思えないくらい若さの女の人が座っていた。


年齢的には30代前半にしか見えない。


「あんた一晩中もどこ行ってたんだい…?頼んだ材料は取ってきてくれたんだろうね?」


「迷いの森で寝ちゃって…。でも、材料はちゃんと取ってきたよ!」


お婆さんの御使いの途中だったのか。


「ふんっ…あまり心配かけるんじゃないよ。。ところで、そっちの人は誰だい。」


ユリのお婆さんが俺の方を見た。


「黒城未花といいます」


「私の名前はリリー。珍しい名前だねぇ。あんたの名前、この近くじゃ聞いたことがない」


「この人、森に迷い込んでたの。それで気になってあとをつけたんだけど、この人自身ここがどこかもわかってないみたいで…」


ユリは自分があとをつけられたということを隠しつつ説明をしてくれた。


「……あんた、よそ者かい?」


リリーさんは俺を怪しむような目付きで見てきた。


それもそうだ…孫が森で拾ってきた得体の知れない他人なのだから。


「…目が覚めたら迷いの森にいました。ここは、どこなんですか?」


「説明してもいいんだけどねぇ…その前に、フード取りな。」


俺はフードを静かに取った。


「……あんた、男かい」


「…やっぱり、この村だと男は珍しいんですね」


「珍しいなんてもんじゃないさ。一生お目にかかれないのが普通だねぇ。」


一生…?


…男は隔離でもされているのか?


「…それで、ここはどこか教えて貰えませんか?」


「『魔女の里』という魔界の中にある大きな村だよ」


魔女…。


だから男がいないのか。


「ここは魔界なんですね。俺は『魔女の里』なんて初めて聞きましたよ…」


「そりゃあ、そうだろうね。なんせ『魔女の里』は一部の魔族しか知らない秘密の村だからねぇ。」


秘密の村…


この村に何があるんだ…?


「…どうして秘密の村なんですか?」


「あんた、自分ばかり質問してないで私にも質問させておくれよ」


ごもっともだ。


だけど、俺は深く質問されても困る。


未来から来ましたなんて口が裂けても言えないからだ。


「わかりました。なんでも聞いてください。」


こうなったら誤魔化すしかない…


「あんた…その首飾り、どこで手に入れたんだい?」


リリーさんは俺の胸元にあるネックレスを指差した。


「…ただの首飾りですよ……?」


「ただの首飾りがそんな神聖力と魔力を纏ってるわけがない。私の目は節穴じゃあないよ」


…誤魔化すのはキツいか……


俺は目の前に聖剣と魔剣を具現化させた。


「…ただの剣です」


「……あんた……その剣…っ…」


リリーさんは悲しそうな表情をしていた…


何かわかるのだろうか…?


「…あんたが言いたくないなら深くは聞かないけどねぇ……。さて、質問の続きを…と思ったけどもうすぐ夜になる。ゆっくり泊まっていくといい。」


ん…?


森にいる時、夜だったから俺は寝たんだが…


もう夜になったのか…?


「俺が森にいる時は既に夜でしたよ?」


「森は日が照らなくなってるからねぇ。時間が狂うのさ」


二度と森には近付かないでおこう…


「ユリ、あんたが拾ってきたんだ。世話してやりな」


ユリは俺とリリーさんの会話を邪魔しないように1歩後ろに下がって聞いていたみたいだ。


声をかけられたユリは頬を赤く染めてこっちを向いてきた。


「ふ、不束者だけど…よろしくね…っ」


急がば回れとも言うし焦らずに行こうかな…


俺は好意に甘えることにした。

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