ニート生活>>>ラブコメ《1》
カーテンの隙間から光が指している。
だが俺にはもう関係の無いことだ。
昼でも夜でも外の世界なんて関係ない。
目の前にあるインターネットとお布団。
そして金。
これらさえあれば生きていくことに苦はない。
一部屋の天国だ。
引きこもって一週間は経っただろうか…親は相変わらず家には帰ってこない。
隣の席の天宝寺が毎日プリントを家の前まで持ってきてくれているが、俺は対応する気は無い。
勉強などする必要が無いのだ。
勉強はお金を稼ぐ手段の過程に過ぎない。
目的を達成してしまっては過程など不要になるのは当然のこと。
学校生活のために…と言っていた自分がアホらしく思える。
青春なんて結局なかった。
俺は1人物思いにふけりなりながら、Mamaznで欲しい物を買っていく。
お金はたくさんあるとは言え無限ではない。
故にどれだけ欲しいものだけを揃えて効率的に引き込もれるかが重要だ。
両親のお金で生活必需品などは定期的に揃っているから有難い。
天宝寺の“能力”のおかげでお金は手に入った。
だが彼女は引きこもりに反対をしていた。
これ以上は増やせない。
お金そのものを劣化コピーしないのは俺自身の最後の倫理観というところだろう…。
もしお金そのものを増やし始めたら本当の終わりだ。
それにしてもおかしい…。
天宝寺は来るのに、なぜ学校から何1つ連絡が来ない…?
もしかして諦められたのか…?
引きこもると決めた時、それなりの覚悟をしたつもりだった。
だが、なんだ、、、この違和感は…。
その違和感を忘れようとするべく、俺は目の前の画面に目を向けていた。
ーーーピンポーン
今日も天宝寺がきたのか…そう思い無視しようとしたのだが。
ーーーピンポーンピンポーンピンポーン
何回も鳴らしてきた。
今日はしつこいな…。
流石に出た方がいいと思いインターホンの画面を覗く。
するとそこには、、、誰もいない。
ピンポンダッシュだ…悪質極まりないイタズラである。
不機嫌になりながら布団に戻ろうとした。
だが、布団の方に広がる光景に唖然となった。
「やっほー、おひさー!ミカくん元気してたー?」
金髪の美少女が俺のいた布団でパソコンをいじっていたのだ。
「ぷっ…なにその間抜けな顔。もしかして自分の使命も忘れちゃった?」
使命なんて心当たりのない俺は頭の理解が追いつかなかった。
それより誰だ…。
「…君は誰かな?」
引きこもり生活を邪魔された怒りを押し殺しながら問いかけた。
「うーん、、、なんて言えばいいのかなー?端的に言うと、あなたの首に下げてるネックレスの妖精。」
ほう…妖精ね…
妖精なんているわけないだろう。
きっと誰かの“能力”に違いない。
「誰の“能力”か教えてもらえないかな?」
「だーかーらー、‘能力”じゃないよ。貴方を助けるために私が現れたの。」
「助ける?何から?」
「この世界から」
「はい?」
引きこもりをやめて欲しいとでも言いに来たのか?
だが、こんな女の子心当たりが全くない。
「今のこの世界はあなたが見ている夢。私が現れることが出来たのがその証拠。いくら意識があっても、神聖力を注いでもらわないと私は実態ができない。私が実体化できたのは夢だからよ。あなたは眠らされたの。“能力”で。心当たりはない?」
一気に喋られたせいで頭の理解が追いついていない。
現れることが出来たって本物の妖精か?
神聖力?なんだそれは。
眠らされた?誰に?…待てよ。
さっき感じていた違和感。
これが夢なら説明がつく。
それよりも…
「、、、これが夢ってことは俺現実ではお金持ってないってことなのかな…?」
突然出てきた疑問に冷や汗が止まらない。
「うーん、持ってるか持ってないかはわからないけど起きてみるしかないんじゃない?」
よし…
天宝寺と話をしよう。
俺は断腸の思いで部屋を出た