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魔剣を売ったら来世で引きこもりにジョブチェンジできた件  作者: kinako
2章『ほんの少しのやる気』
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コンクール>>>日常《終》

私は黒城くんが出て行ってからしばらくの間、なにか手はないか考えていた。


「意地悪だなぁ生徒会長さんは」


何も無い空間から生徒会書記の天龍真琴が出てきた。


「…あら?盗み聞きなんて宜しくないわね」


「とか言っちゃって、気づいてた癖に」


彼の“能力”は空間にもう一つの空間…つまり異次元を作って自由に出入り出来るというとても便利な“能力”だが、気配まで消せないのが難点だ。


「それで?何か用かしら?」


「さすがにさっきの対応はないかなぁと思ってさ」


嘘だ…


明らかに楽しそうにしている時の表情だった。


「仕方ないわ…流石に膨大な神聖力を集めるなんて無理よ」


「あの方法を伝えなかったのはなんでだい?」


……あの方法だけは絶対に避けたい…


なぜなら…


「非人道的だからよ」


命そのものを神聖力に変える方法…


「…ふーん。生徒会長さんがそんなこと言うなんて予想外だったなぁ」


「…どういう意味かしら?」


「手段は選ばないタイプだと思っていたからね」


確かに、前までならどんな最悪なやり方だろうと目的のためなら全てを犠牲に出来た。


でも、、もう以前とは違う。


私にだって守りたいものができた。


「あのやり方じゃなくて他の方法を探すわ」


「んー、じゃあ僕いい方法知ってるんだけど、どうかな?」


…こういう時は絶対ろくでもない方法だ。


でも、今は選択肢が一つでも多いほうがいい。


私はその提案に耳を傾けた。



俺は生徒会室を出た時にある事を思い出していた。


生徒会長の言っていた“マリアが自分で神聖力を持っていた”こと。


俺が偽物のネックレスを量産した時に食べていた事と関係あるのかもしれない。


もし、同じように偽物のネックレスから神聖力をオリジナルに流し込んでも、瀕死の重傷者に傷薬を塗るようなものだ…それで助かる希望は薄い。


だけど、今必要なのは神聖力だ。


…莫大な量の。


もし、今必要なのが一ヶ月分だけとかならチャレンジしてもよかっただろう。


しかし、、、俺と生徒会長を合わせたのを1年分なんて…不可能に近い。


正確には時間があればいけるだろうが、今は時間がどれだけ残されているかもわからない、だから不確定要素は避けたい…


他の方法は何かないのか…


悩んでいるうちに教室に着いた。


教室にはまだ数名の生徒が残っていた。


そうか…放課後だったか…


俺は自分の席に座ろうとした。


すると、そこには天宝寺が座っていた。


「黒城くんおかえり!」


「…ただいま天宝寺」


「また生徒会長さんのとこ?」


俺は天宝寺にはマリアのことを話していなかった。


心配をかけるわけにはいかない。


「うん…」


俺は無意識に天宝寺から顔を逸らしてしまった。


「…何か隠し事してる?」


女の勘か…?


「なんでそう思うの?」


「…前にさ、黒城くん寂しそうな目する時あるって言ったことなかった?今ね、すごく寂しそうだよ」


「…」


本音を言うと巻き込みたくなかった。


だって、天宝寺は普通の“能力”があるだけの人間の女の子だ。


「……私ってそんなに頼りにならないかな?…友達って思ってたのは私だけだったの…?」


「…そうじゃなくて…っ」


言えない


「じゃあなんなの!」


言えるわけがない


「友達だから…言えない…」


「…マリアちゃん前に中間試験の時言ってたよね?『協力したらいいのに』って。…友達だから…頼って欲しい事もあるよ……」


天宝寺は静かに涙を流していた。


俺は目の前の女の子を泣かせてしまう自分が情けなくなった…


「……話すよ。全部ね」


「…ありがとう」


俺は天宝寺にマリアが死んだことと未来の自分がどうなるのか。


それと、過去に行かなければいけないこととそのためには膨大な神聖力が必要だということを伝えた。


「……黒城くんは嫌だと思うんだけどね。その未来の黒城くんに協力してもらったらいいんじゃないかな?2人ともマリアちゃんを助けるっていう目的は同じなんだから、協力し合えないかな?」


…その発想はなかった。


いや、むしろ避けていたと言うべきか…


「あいつは、、、今のマリアには興味が無いんだよ。自分だけを見てくれる、自分だけの側にいてくれるマリアにしか興味がないんだと思う。だから、1度過去に戻って俺が魔王に勝てるように誘導した…?多分ウリもそれが目的で俺に近付いてきたんだと思う。」


ウリが俺に近付いてこなかったら生徒会長との接点はなかったままだった。


俺が生徒会長と特訓していなかったら秒殺もいいとこだ。


「でも、それだと未来の黒城くんにとってはマリアちゃんが居ないままだよ?」


…それもそうだ。


生徒会長も言っていた


『貴方はマリアを救うことに失敗した』と。


今冷静に考えてみると、俺を魔王に勝たせるためだけに過去に戻ったとは思えない。


生徒会長と会話してる時は気付かなかったが、生徒会長は俺が二千年前に戻ったことを前提で話を進めていた。


生徒会長もそれをわかっていた。


俺はマリアと未来の俺の会話にあった『魔王に殺された』という言葉が印象強かったせいで、無意識に未来の俺が2000年前に戻ったという可能性を排除していた。


あれ、、、おかしいぞ…?


俺になんの力もないなら、マリアが魔王に殺された後、俺はどうやって生き残った…?


…いや、今は色々考えても仕方がない。


本人に直接話を聞いてみるしかないか…


「ありがとう天宝寺。俺、未来の俺に会いに行ってくるよ」


「うん!…でもどうやって会いに行くの?」


「やっと僕の出番だね」


何も無い空間から天龍先輩が現れた。


「…先輩、、いつも急に現れるのやめてもらえませんか?」


「やだなー黒城くん。気配は消せないの知ってて言ってるよね」


…気配なんてほんの僅かにしか感じない。


それこそ集中してやっとわかるくらいだ。


「ところで、何か用ですか?」


「僕が未来の君のところまで連れて行ってあげるよ」


天龍先輩の少年のような無邪気な笑顔に、俺はなぜか恐怖を感じずにはいられなかった。

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