下界>>>天界《17》
私達は校長室をこっそりと覗き込んだ。
「ふむ…そなたらは……魔族じゃな。妾になんの用じゃ?」
校長先生が椅子に深々と腰掛けていた。
それに向かい合うのはフードで顔を覆うようにしていた三人の魔族。
3人ともかなりの強さであることは明白。
しかし、その3人の中でも…
真ん中の魔族だけは格が違う。
冷たく鋭い、近くにいるだけで肌で感じる洗練された魔力。
圧倒的な存在感を出していた。
もしかすると、魔王と同等かそれ以上…。。
そして、真ん中の魔族が口を開いた。
「私達は争いに来たのではありません。是非協力して欲しいことがあるのです」
「へぇ……?あれだけの魔力で威嚇しておいて争いに来たのではないと?」
「信じてもらえないかもしれませんが、我々も臆病なのですよ」
嘘…
さっきのは明らかに殺意が込められた魔力…
交渉に応じなければ、一方的に学校内にいる人間を全員殺すという脅迫。
校長先生は応じるしかない…はずだった。
「妾からも要求じゃ。1つ、そなたらの要求自体で妾は拒否するかどうか決める。2つ、そなたらが学校内の者に少しでも関わった時点で妾は自決する」
自分に価値があることを理解した上で校長先生は学校内の人達の安全を優先した。
「いいでしょう。私からの要求は1つです。貴方の“能力”で神様のところに連れて行って頂きたいのです」
「…ほう?そなたは神様に会って何をするつもりじゃ?」
「貴方には関係の無いことです」
「…ろくな事ではなさそうじゃな」
そうか…
魔族達の目的は初めから校長先生を連れ去ること…
魔神復活の真偽は不明だけど、それを餌にミカくんをここから引き離した。
もしかして、魔王すらも彼らの計画の一部に過ぎなかった…?
あの魔族…一体何者…?
「さて、貴方に選択権はないです。しかし、自分の命すらも交渉のテーブルに引きずり出す貴方に免じて約束は守りましょう」
「………わかった。着いていこう」
「物分かりが良くて助かります」
だめ…
このまま何も出来ないなんて…
きっと後悔する…
動いて…私の体…!
動いてよ!!
そんな私の思いとは裏腹に、真ん中の魔族が両隣の魔族に耳打ちするのが僅かながらに聞こえた…
「ネズミが3匹紛れ込んでいます。始末しておいてください」
背筋が凍った。
ーーー死
これを連想するには充分すぎる殺意。
「さて、行きましょう」
右側の魔族がどこに繋がっているかわからない門のような物を創り出した。
先頭を校長先生が歩く。
その次にリーダー格の魔族。
そして、その後ろには2人の魔族がついて行った。
もしかして…見逃してもらえた…
そう思った瞬間だった。
私は目を疑った。
後ろについて行っていた2人の魔族が、突然もう2人増えた。
この“能力”に私は見覚えがある。
いや、むしろいつも側で感じていたから間違えるはずがない…
あの“能力”は、ミカくんの……。。。
静まり返った校長室には2人の魔族が佇んでいた。




