下界>>>天界《11》
「前世の俺の母親…?」
俺は夢ではないかと思い頬をつねったが、、、痛い。
紛れもない現実だった。
俺は恐る恐る聞いた。
「……今も、生きてたりしますか?」
「いいや、生きてはおらんよ。生きていたら噂程度に我の耳に届くはずだからな。」
俺は少し安心していた。
普通は悲しんだりするのだろうか…?
だけど、急に前世の母親だと現れてもらっても俺にはどう接していいかわからないし、困るだけだ。
死んでいる人より今生きている人のことを優先する。
だからこそ、俺は今身近にいる人たちを大切にしたい。
「それなら、俺達はどこへ向かったらいいんですか?」
「わからん」
閻魔様も困り果てた表情をしていた。
嘘ではないだろう。
「だが、地獄に居たという噂は聞いたことがある」
「…どうして地獄に…?」
「あくまで噂だがな。その女は魔族だったのだが、魔界を抜け出してきたらしい。前世の貴様と同じだな。」
俺って魔界抜け出してきたのか…
ん?それなら、閻魔様に会ってないとおかしくないか?
「…抜け出してきて地獄にいたなら、閻魔様に会ってないとおかしくないですか?」
「それがな、、全く覚えておらぬのだよ」
…“記憶が無い”
俺は最近これに近い状態になったことがある。
俺は自分の記憶を探るように思い出した。
そうだ、“能力”が目覚めた時だ。
俺は閻魔様の言葉に嫌な予感を覚えながら質問をした。
「全く覚えていない…?そんなことあり得るんですか?」
「我にもわからん。それがあの女の“能力”なのか。そもそも、記憶を消すか書き換えることが出来るのなら…地獄という情報も嘘かもしれん。」
いや、地獄に手がかりがある可能性が濃厚だ。
なぜなら、俺は記憶を消されただけで書き換えられてはいなかった。
「他に手がかりもないので、とりあえず地獄に行ってきます。…生徒会長もそれでいいですよね……?」
ずーーーっと黙っている生徒会長に俺は声をかけた。
「あ、あの…生徒会長…?」
「………すやすや…」
寝息が聞こえた気がしたが気のせいだろう。
「地獄に!!行きますよ!!!」
「…はっ……え、えぇ…そうね」
やっと起きたらしい。
「寝るのやめてください」
「寝てないわ」
「…よだれついてますよ」
「…はっ!…。あ、あれ?ついてないじゃない!」
この動揺からして絶対に寝ていたにちがいない。
「とにかく、地獄に行きます」
「…なんでそうなったのかしら?」
聞くくらいなら寝なければいいのに…
俺は渋々説明をした。
「わかったわ。今すぐ行きましょう…!」
俺達が立ち上がろうとすると閻魔様が引き止めてきた。
「まあ、待て貴様達。もうすぐ夜になる。今夜は泊まっていくといい。」
「どうしますか?」
「いいんじゃないかしら。無駄に広いことだし。」
生徒会長も疲れているのだろう。
寝ていたのがその証拠だ。
「無駄とはなんだ…!」
無駄ではないのか…?
もしかしたら大事な理由があるのかもしれない。
そう思ったので、俺は聞いてみることにした。
「そういえば、閻魔様のお屋敷は何でこんなに大きいんですか?」
「我が威厳を示すためだ」
閻魔様は胸を張っていたが、それを見て生徒会長は切り捨てるように言った。
「単なる見栄よ」
「…ぐぬぬ。。。今夜は客間を使うといい。風呂と飯は鬼達に用意させよう。では、我は仕事が溜まってるので行ってくる」
「ありがとうございます閻魔様」
「感謝しておくわ閻魔様」
さっきも大天使様のところでご飯とお風呂ご馳走になったなーと思いつつも、俺は閻魔様の好意に甘えることにした。




