下界>>>天界《10》
閻魔様は俺たちの前に座り込んだ。
「ミカよ。久しぶりではないか…!」
「えっと、、、どこかで会ったことありましたっけ?」
当然俺は閻魔様に会ったことなんて一度もない。
こんな口調の子供に会ったら忘れるはずがないからだ。
「……貴様の前世の記憶を消したの忘れておった。」
「俺の前世…?」
俺は前世で閻魔様に会ったのか…
もしや、なにか悪いことでもしたのか…?
少し不安に思ったが杞憂に終わった。
「魔王の魔剣を盗んだのだ。」
悪い事どころか犯罪だ。
いや、それよりも、、、俺は魔族だったのか…
「詳しい事情はあの時の貴様しか知らないが、魔界に戻れないという貴様の要望を聞き入れて下界に転生させた。」
「貴方…とんでもないことをしたのね…」
生徒会長が呆れていた。
「それで、なんで俺が聖剣を持っているかはご存知ないですか?」
「我が貴様に届けたからだ。前世で貴様は既に聖剣に選ばれていた。魔剣を封印していたのが聖剣だったのだ。その聖剣に貴様は選ばれたというわけだな。」
…あれ?
俺は今聖剣しか持っていない…
じゃあ、魔剣はどこに…
「俺は今聖剣しか持ってないんですけど、魔剣ってどこにあるんですか?」
「…なんだと?そんなはずはない。あの時確かにこの目で見たのは聖剣と魔剣だった。」
閻魔様は怪訝そうな表情を浮かべた。
「ふむ……。。。試しにそのネックレスに神聖力と魔力を込めてみてくれないか?」
「わかりました」
俺は魔力と神聖力を込めてみた。
すると、目の前に純白の聖剣と真紅の魔剣が現れた。
「これが…魔剣」
惚れ惚れする程に美しかった。
真紅の魔剣には雪のレリーフはなく、代わりに百合のレリーフが刻まれていた。
「やはり…貴様が聖剣を完全に目覚めさせたことにより、魔剣を具現化されるには魔力を流すしかないみたいだ」
「それって魔剣の力が弱まっているってことですか?」
魔剣の力が弱まっているなら聖剣を二本用意した方がマシだ。
「違う。貴様が無意識に神聖力を強く流しているだけだ。魔力と神聖力を強く平等に流せばその二本の剣はきっと貴様の力になってくれる。」
この聖剣と魔剣…不思議な力を感じる。
だが、今はそれより先に閻魔様に聞かなければいけないことがある。
「教えていただいてありがとうございます。もう一つ聞きたいことがあるのですが、先代勇者が最後どこにいたかはご存知ないですか?」
「先代勇者だと?……知らん…が、我のところにあいつの魂は来ておらん」
死んではいないのか…?
これなら希望が持てる。
「つまり?」
「あいつはどこかで生きておるか、魂そのものが殺されたか…だ。」
「魂そのものが…?」
肉体の死はわかるが魂の死は想像が出来なかった。
「魂の死は転生も出来ぬ上に天国や地獄にもいけぬ。完全な消滅だ。」
消滅……もしそうなっていたら絶望だ。
だが、問題はどうやって消滅したか…だ。
「消滅ってどういう条件で起きるんですか?」
「…魂そのものを喰われるか、魂そのものを膨大な魔力や神聖力で消されるか、だな。良くないことであるのは確かだ。どっちみち人間の寿命は短いからな。魂が消滅したと考えるのが一番だろう」
……行き詰まったか…
それよりも生徒会長はなんでずっと無言なんだ…少しは意見してほしい。
「じゃあ、最後にどこにいたかは心当たりないですか?」
「……心当たりならあるが…」
なんだ?
閻魔様がすごく言うのを躊躇うような仕草を見せた。
「ある女のところだな…」
女…
勇者も聖人ではない。
やっぱり欲求には逆らえないということか。
「勇者の妻だった女だ……そして、貴様の前世の母親でもある」
……はい?
俺は閻魔様の言ってることが理解出来なかった




